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ロンドン唯一のクラフトジーンズメーカーBlackhorse Lane Ateliersを見学

London Design Festival 2024 の一環として、先日、ロンドン東部のWalthamstowにある、William Morris Design Line がこの地域に連なる工房やワークショップを一般公開しました。一つ前の投稿ではここにある ISOKON の工房を見学したことを綴りました。

今回は、ロンドン唯一のクラフトジーンズ・メーカーである Blackhorse Lane Ateliersを覗かせてもらった話をシェアします。

生まれてからずっと、ロンドンで暮らしていますが、私がロンドン東部の Walthamstow に行ったのは今回が初めて。

駅に降り立つと、目の前にアーティスト感で溢れた街並み。ミューラルをよく見ると"Welcome to the home of people who make and create" (ものづくりをする人たちのホームへようこそ)というメッセージ。

Walthamstow 駅前のミューラルとサインペインティングが
クラフト感満載でいい味を出している

ここはクリエイターが多い街なんだと、ヒントを得るが、この時の私はまだ、William Morris Design Line がてっきり「あのウィリアム・モリスの商品を扱っている工場?」と、勘違いしていました。(笑)

しばらく歩いていくと、工場地帯に。地図の目的地点について、行ったり来たりしても、全然、ウィリアム・モリスな気配がない。どうしよう?わざわざ来たのにーと考えていると、ある建物の前にたくさんの人だかりが。みんな何かが始まるのを待っているよう。しばらくすると、一斉に建物の中へ入っていく。よく分からないけど、着いて行きました。(笑)

人だかりができていた建物
これって有料じゃないよね?と思いながらも恐る恐る着いて行った先は、
ジーパン工房

中に入ると、テキスタイル系の工房でした。よく見るとジーパン。ツアートークが始まり、ここはロンドン唯一のクラフトジーンズ・メーカーである Blackhorse Lane Ateliers の工房ということを知りました。

LETTERPRESS されたポスターがイギリスらしい

創業者の方がツアー中、たくさんお話をしてくださいました。その中で、まず、William Morris Design Line というのは London Design Festival のために今年初めて設けられ、Walthamstow のデザインコミュニティーに焦点を当てた、地域のアトリエ、ワークショップ、イベントなどを回るツアールートのことだと知る。

ウィリアム・モリスとのゆかりは、彼が Walthamstow 出身で、近くにモリスのギャラリーもあるということ。そして、彼が残した言葉 ‘art made by the people and for the people’ (アートは人々により作られ、人々のためである)にインスパイアされ、このイベントは、デザインを通して、クリエイティブな街をより盛り上げ、祝福し、人と人とのつながりを作ることが目的だそう。特に若者たちにいい刺激を与えたいと。

なんだか、この創業者の方、話し方からして、人間味があっていいなー思っていた。

すると、この Blackhorse Lane Ateliers を立ち上げた理由と、ミッションを教えてくれた。まず、三つのサステナビリティーを中心にいろいろと話してくれた。

Personal sustainability
Social sustainability
Environmental sustainability

「現代はサステナビリティー、と聞くと環境問題を思い浮かべる人が多いと思う。でも、私は、個人的なサステナビリティー、そして社会的なサステナビリティーがあってからこそ、本当の意味での持続可能な世界になると思う。だから、このブランドは、地域活性化のために、地元コミュニティーから人を雇い、人と人とのつながりを大事にして、成長している。」

Think Global, Act Local

「自分を大切にすることで、他者もレスペクトできて、さらに環境を大事にできる」と。まずは目先のことから。まさに、ヒューマニズムの塊、素晴らしい。最近はやっぱり、ストーリー性と共感性があるブランドだと、より、浸透しやすいですよね。

「環境のためにしていることは、例えば、オーガニックコットンの使用やライフタイム・リペアポリシーなど」と、創業者の彼。デニム生地のあまり物で作ったマテリアルも見えてくれた。こんなに小さい工房が積極的に環境問題にも取り組んでいて、感心した。

デニム生地のあまり物で作ったマテリアル

「ラグジュアリーの世界だと、成功値を scalability で測る。例えば、何店舗オープンしたかとか。特にイギリスは、イタリアとかと比べても、そういう傾向が強く、クオリティーが犠牲になる。しかし、日本を見てみると、彼らは、クラフトやパッション、クオリティー性を重んじ、本当にいいものを作る。(そういうスピリチュアル的な、ものづくりへの愛があるところがいいよね、というニュアンス)」私も納得。

デニム生地のサプライヤーは70%が日本、(鹿児島や大阪のもの)
30%くらいがイタリア産だそう。日本のクオリティーは最高、と、何回も褒めていた工場長。
もう、ニヤニヤしてしまいました。

正直、小さな工房が、こんなに明確なビジネスビジョンを掲げるということをあまりイメージしていなかったのですが、「優しい社会に向かって行きたいよね」という現代のニーズ傾向とマッチしていて、(デニム作りに至って、ものづくり、クリエイティビティーを重んじることと、会社と社会づくりの面でも、クリエイティブな発想と活動をされているんだなと)とても、インスパイアされました。やっぱり、クリエイティビティーって、大切なスキルですね。

偶然潜り込んで、意外といいお話が聞けて。
わざわざ行った Walthamstow はいい思い出となり、よかったです。  
イレギュラーなハプニングにもどんどん乗っかり、楽しみたいですね。

従業員の方達「たくさん写真撮っていいよ」


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