NPO法人制度の入門知識
本稿では、NPO法人についての入門的な知識をご紹介していきます。どんなきっかけであれ、NPO法人について興味を持たれた方にとって少しでも役に立つ投稿になることを願っています。
1.NPOとNPO法人制度
まずはNPOとNPO法人の違いを押さえていきます。
NPOとは、Non-Profit Organization(非営利団体)の略称で、社会的な問題の解決や公益的な活動を目的として設立された団体のことを指します。
NPO法人とは、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく非営利団体のうち、法律上の資格を持つもののことを指します。
つまり、NPOは法的な枠組みに縛られることなく、自由に活動することができますが、一方でNPO法人は、公益的な目的を持ちつつも、法的な枠組みに則った運営が求められます。
NPO法人は、法律上の手続きを経て、所轄庁(都道府県又は政令指令都市)からの認証を受けることによって、税制上の優遇措置等を受けることができますが、設立時に決めた目的以外の活動はできないという制約も受けています。
NPOとNPO法人の違いを簡単にまとめると、ひとまず以下の5点に要約できるでしょう。
このように一口にNPOといっても、それが単にNPOであるのかNPO法人であるかによって運営形態はだいぶ異なるということを覚えておきましょう。
2.NPO法人制度が始まった歴史的経緯
NPO法人制度は社会福祉などの分野において、民間組織がより自由に活動することができるように制度化されたものですが、NPO法人の根拠法となる「特定非営利活動促進法(NPO法)」は1998年に制定され、2002年に施行された比較的近年の法律だといえます。
ここでは、このようなNPO法人制度が制定されるに至った背景について簡単に振り返りたいと思います。
日本では、NPO法の策定前から活発なNPO活動が行われていました。例えばボランティア活動の分野では日本赤十字社(1877年設立)のような募金団体や、研究・教育活動の面では日本財団(1968年設立)のような財団法人や社団法人が、国際協力の分野では国際交流基金(1972年設立)といった非営利団体が数々の社会貢献を行ってきました。
しかしながら特定分野や特定団体の活躍が見られる一方、日本の非営利団体活動にはいくつかの課題が指摘されるようになりました。
これらいずれにも共通しているのは、日本における非営利団体活動を支える根拠法の存在がなかったということです。
こうした中、1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、被災地ボランティアを始めとしたNPO活動の重要性が社会的に強く認識され、NPO法人制度の整備が急速に進められることになりました。
震災のわずか3年後には「特定非営利活動促進法(NPO法)」が制定されることになったというのが、NPO法策定までのざっくりとした流れということになります。
3.NPO法人による社会的な貢献の具体例
NPO法人が社会的課題に取り組む分野は多様ですが、ここでは主要な分野をいくつか挙げたいと思います。
もしかしたらみなさんの趣味や生活に関連する分野があるかもしれません。自分の関心のある分野のNPO法人の存在を調べることが、もしかしたらNPO法人をより身近に感じるための一歩になるかもしれません。
5.NPO法人制度の問題点
こうした法律上の優遇制度や社会的意義が認められる一方で、NPO法人制度には以下のような問題点が指摘されています。
これらの問題点に対してはNPO法人自身が自己改善に取り組むことはもちろんのこと、一方で政府も、NPO法人が活動しやすい環境を整備するための施策を進めることが求められています。
5.これからNPO法人の設立を検討されるひとへ
少子高齢化が進んで、将来的には政府や役所の資源も限界を迎えます(もしかしたら既に迎えているのかもしれません)。政府に社会的問題を解決してもらえるのが一番かもしれませんが、より過ごしやすい社会を実現するためには、NPO法人による民間主導の社会的問題解決にますます期待がかかっています。
ここでは、これからNPO法人の設立を検討されている方々に向けて、調べた範囲ではありますがいくつか留意事項をシェアさせていただきたいと思います。
以上が、NPO法人を運営する上での一般的な留意点になります。
NPO法人は、社会に対して積極的な貢献を行うために設立された団体であり、その運営には多くの人々の協力が必要となります。NPO法人の活動が社会に貢献するためには、適切な準備と地道な活動が必要ですが、社会の課題の解決に貢献できるというやりがいもまた大きいといえるでしょう。
本稿がNPO法人を応援する人たちにとっても何かしら役に立つ情報が含まれていることを願っています。(了)