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Key Fantasia

14
14歳の内気で人見知りな子、サクラは、森で見つけた古びた剣を手に入れる。それは伝説の剣で、魔法使いのラメと共に魔王退治(と、その他幾つかの目標)のために旅に出る。  小さな勇気で…
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2023年1月の記事一覧

プロローグ

プロローグ

 チクタク、チクタク、秒針の音。
薄暗い部屋で、少年は一人で本探す。
その部屋は異様だった。入口はなく、壁は全て本棚。
 そして一人の少年。無言で本を探す。自分を満足させる本を。
少年の前には壁一面の本の背表紙、もちろん背後にも。
人差し指で並ぶ背表紙をなぞる、そして1冊の本を手に取る。
懐かしいような初めて見る本を。

『key fantasia』

 題名はシンプル、しかしどこか惹かれる。

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序章 語り手から

序章 語り手から

 いや〜困ったもんだ。この物語を語るとなると、どこから始めればいいか……
だいたい長すぎるんだよなぁ。こんなに長い物語、どこの世界にも数個しか無いだろうな。
長すぎて始まりも終わりも薄れつつある、いや終わってはいないな?
そう、この物語はまだ完結してないんだよ。そしてこれから完結するかもわからん。
え?意味不明だって?仕方ない、そういうものなんだよ。
 とりあえず、最初の最初、まぁ一章ってとこかな

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一章/1話 勇者と剣

一章/1話 勇者と剣

 今から語る事は、500年前、いや1000年以上前の話になるだろう。
実際、どれくらい昔なのかなんて、詳しい資料なんてないんだけどな。

●――――――――――――――――――――●

 その日はよく晴れた日だった。
 朝、カーテンを開けると強い日差しが部屋入ってきた。
この部屋には一人しか居ない。この部屋どころかこの家全体に一人だけだ。

 名前はサクラ。桜色の長い髪を提げ、眠い瞳を開く。
特に

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一章/2話 勇者と魔法使い

一章/2話 勇者と魔法使い

 何とか家に戻ってこれた。でもこの剣、台座に刺さってただけだから鞘ないね…そういえば包帯みたいな長い布があった。とりあえずこれを伝説の剣(仮)に巻き付けてみよう。あといい感じに肩から掛けて背負う形にした。
 そしてもう1つ、大事なことに気づいた。
「あ、結局朝ごはん食べてないよ〜」
なるべく人が少ない時間にパン屋にでも行って買いに行こうと(うちの村のパン屋は開店時間が早いのだ)思っていたけれど、

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一章/3話 勇者は身長が低いらしい

一章/3話 勇者は身長が低いらしい

「伝説の剣を携えた『勇者様』?ですか?」
予想外の言葉が飛び出してきた。
「そう!私の故郷で古い言い伝え?伝説?みたいなのがあってね、それによると…『世界が魔に支配されんとするとき、1人の勇者が現れ、魔を打ち払わん』ってやつなの!それでね、その勇者の見た目が、『身長が低く、桜色の長髪の少年』ってことになってて、『魔』っていうのは、近頃話題になってる魔王が現れたーとかのことだと思うの。それで勇者の方

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一章/4話 「行ってきます」と兄の記憶

一章/4話 「行ってきます」と兄の記憶

 てことでラメと一緒に魔王を倒すべく、あと『都市巡り』を完遂するべく(僕としてはこっちが主題)旅に出ることになったわけだけれど、『世界一の刀匠』に会いに行く前に世界一の長老(笑)に会いに行かなけばならない。その長老っていうのはうちの村の長老なんだけれども、何が世界一かっていうと……
「すごくてきとーなんだよね、うちの村の長老」
「ふむふむ、とりあえずそのてきとーなちょーろーさんに『行ってきま〜す』

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