『くるみんマーク』で子育てサポート企業をアピールしませんか?
みなさん、「くるみん」をご存じですか?
2021年度から子育て支援に積極的な中小企業へ1社あたり年50万円を助成するというニュースも出ています。
その要件の一つに「くるみん」を前年度に取得することが条件となりそうです。
こんにちは。はるか社労士事務所の代表・社会保険労務士の益永 治英です。
今回は、「くるみん」について解説していきます。
くるみんマークとは?
「くるみんマーク」とは、子育て支援に積極的に取り組んでいると認められた企業に与えられる厚生労働大臣の認定マーク(愛称:くるみん)です。
行動計画を策定し、その行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たし、申請を行うことにより「子育てサポート企業」として「くるみんの認定」を受けることができます。
くるみん認定のメリット
くるみん認定を受けると「くるみんマーク」を商品、広告、求人広告などにつけてPRすることができます。
その結果、
・企業イメージの向上
・従業員のモラールアップによる生産性向上
・優秀な従業員の採用・定着
などの効果が期待できます。
一般事業主行動計画とは?
くるみんの認定基準を満たすためには、「一般事業主行動計画」を策定している必要があります。
「一般事業主行動計画」とは、従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画のことです。
具体的には、以下の3つの記載が必要となります。
①計画期間 ②目標 ③目標を達成するための対策の内容と実施時期
常時雇用する労働者が101人以上の企業は、一般事業主行動計画の策定・届出、公表と労働者への周知が義務となっています。
常時雇用する労働者とは、正社員・パート・アルバイトなどの名称に関係なく、以下の①または②のいずれかに該当する労働者のことをいいます。
①期間の定めなく雇用されている者
②1年以上引き続き雇用されている者(雇入れから1年以上引き続き雇用が見込まれる者も含む)
くるみん認定までの流れ【概要】
行動計画の策定から実施、くるみん認定の流れは下記の7つのステップとなります。
【ステップ①:自社の現状や労働者のニーズの把握】
【ステップ②:上記①を踏まえて行動計画を策定】
【ステップ③:行動計画を公表し、労働者に周知】
【ステップ④:行動計画を策定した旨を労働局へ提出】
【ステップ⑤:行動計画の実施】
【ステップ⑥:行動計画期間の終了後、労働局へくるみん認定の申請】
【ステップ⑦:「子育てサポート企業」として認定くるみんマークの付与】
なお、労働局の窓口は「雇用環境・均等部(室)」となります。
行動計画の策定・実施
行動計画策定から実施の5つのステップまでを詳しくみていきましょう。
【ステップ①:自社の現状や労働者のニーズの把握】
行動計画が企業の実態に即したものとなるように労働者のニーズを把握します。
例1:自社の課題として、過去5年程度さかのぼって、以下のような事項を調べてみる。
・妊娠・出産を理由に退職する労働者の数
・子育て中の労働者の数
・育児休業、子の看護休暇等の性別や年齢別の利用者数や平均的な利用期間
例2:労働者のニーズの把握として、以下のような事項を調べてみる。
・ワーク・ライフ・バランス支援制度の認知度や利用意向
・現在の支援制度への満足度
・仕事と子育ての両立で苦労していること
・労働時間の短縮や年次有給休暇の取得への希望
・今後、会社で検討・実施してほしい支援制度
【ステップ②:上記①を踏まえて行動計画を策定】
ステップ①を踏まえて、下記の順番で行動計画を策定します。
1.課題に優先順位をつける
2.計画期間を決める
3.目標を決める
なお、「くるみんマーク」をもらうためには、認定基準(後ほど解説いたします)を満たした行動計画を策定する点に注意が必要となります。
【ステップ③:行動計画を公表し、労働者に周知】
行動計画を策定したら、おおむね3か月以内に行動計画を一般に公表と労働者への周知をします。
一般に公表する方法としては、
・厚生労働省の「両立支援のひろば」へ掲載
・自社のホームページへ掲載
・事業所に備え付けて、一般の方からの求めに応じて公表できる体制
などがあります。
労働者への周知方法としては、
・事業所の見やすい場所への掲示や備え付け
・労働者への配布
・電子メールでの送付
・イントラネット(企業内ネットワーク)への掲載
などがあります。
【ステップ④:行動計画を策定した旨を労働局へ提出】
行動計画を策定したら、おおむね3か月以内に「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第一号)を労働局へ届け出をします。
※一般事業主行動計画策定・変更届の記載例はこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/10page31_32todokede.pdf
【ステップ⑤:行動計画の実施】
行動計画に掲げた対策を実施し、目標を達成するために取り組みます。
くるみんの認定基準は?
以下の10項目基準を全て満たす必要があります。
1.雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと。
2.行動計画の計画期間が、「2年以上5年以下」であること。
3.行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。
4.行動計画を公表し、労働者への周知を適切に行っていること。
5.男性の育児休業取得について、次の①または②を満たすこと。
※労働者数300人以下の企業については特例あり
①計画期間において、男性労働者のうち、配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業等を取得した者の割合が「7%以上」
②計画期間において、男性労働者のうち、配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業等を取得した者及び育児休業等に類似した企業独自の休暇制度を利用した者の割合が「15%以上」、かつ、育児休業等を取得した者の数が「1人以上」いること
6.計画期間において、女性労働者の育児休業等取得率が、「75%以上」であること。
7.3歳から小学校就学前の子を育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。
8.労働時間数について、次の①および②を両方満たすこと。
①フルタイムの労働者の法定時間外・法定休日労働時間の平均が「各月45時間未満」であること
②月平均の法定時間外労働「60時間以上」の労働者がいないこと
9.次の①~③いずれかについて、成果に関する具体的な目標を定め実施していること。
①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の取得の促進のための措置
③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他の働き方の見直しに関する多様な労働条件の整備のための措置
10.法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。
くるみん認定申請
10項目の認定基準をすべて満たしたら、くるみん認定の申請をします。
くるみん認定の申請は、「基準適合認定一般事業主認定申請書」(様式第二号)に必要書類を添付して労働局に申請します。
※くるみん認定基準や申請手続き、添付書類の詳細については、以下の厚生労働省のパンフレットをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/03page8_14kurumin.pdf
さいごに
いかがでしたでしょうか?
「くるみんマーク」の取得を目指すことで、ワーク・ライフ・バランスの実現や長時間労働の対策、有給休暇の取得率向上にもつながっていきそうですね。
従業員のために、こういった人を大切にする取り組みを積極的に行っていく企業は応援したくなりますね。
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