「黒い家」を読んで
はじめまして、ハルカです。
今回は貴志祐介さんの作品、「黒い家」を読みました。
私はホラーが好きなのですが、最近ホラーに飢えていたので久しぶりに本を読んでみました。
今回読んで感じた作品の魅力や感想などを書いたので、読んで頂けると幸いです。
~あらすじ~
保険会社に勤める若槻慎二は、ある顧客の家に呼び出されて子供の首吊り死体の第一発見者となる。
顧客の不審な態度から他殺を疑い始め、調べていく内にいくつもの不審な点に気付き、彼を含め周囲の人間まで不幸な出来事に苛まれる。
この本の3つの魅力
①当時の生命保険業界のリアル
この本では、1996年の保険会社の仕事内容や接客方法などが書かれており、興味をそそられる内容でした。
裏話のような豆知識のような感覚で読むことができ、接客業を経験したことがある方はより面白いと感じると思います。
②じわじわ迫る恐怖感と狂気さ
主人公の目の前に現れている訳では無いにも関わらず、恐怖の根源がだんだんと、そして確実に近づいてきていることがよく分かる作品です。
やばいっ!というドキドキ、ゾクゾク感を味わい方は是非読んで頂きたいです。
③生まれながらのサイコパスは存在するのか
この小見出しで、恐怖対象は人間なんだー、と軽いネタバレになっているかもしれませんが、この作品を通して多くの読者が考えることになるであろうテーマだと思います。
心理学の観点から人格障害について述べられている部分もあり、論理的に現代社会と繋げて考えているので、そこもこの作品の魅力だと思います。
~感想~
久しぶりのホラー小説、良かったです。笑
私の好きなホラーは、もっぱらYouTubeで怖い動画を見ることだったのですが、ホラー小説でもこんなに臨場感や、まるで悪夢のような逃げられない恐怖を味わうことが出来て非常に嬉しかったです。
今回の作品、「黒い家」はただただ恐怖を表現しただけの作品ではなく、これからの日本に起こりうる未来を予想し危惧する部分も含まれていると感じました。
この本の中で、人格障害者の数が増えていると述べられており、その原因を、ある人物は愛情を持たない人間が子供を育てたことが原因だと主張し、またある人物は環境汚染が遺伝子に影響を与えた結果だと主張していました。
前者はある意味楽観的に、後者は悲観的に考えた結論だと思います。
皆さんはどちらの方が正しいと思われますか?
私は、どちらも納得できる意見ではありますが、まだ前者の方が可能性が高いのかなと思います。
作中では、環境汚染として農薬や食品添加物、ダイオキシン、電磁波などが挙げられていましたが、確かに私も最近マイクロプラスチックという言葉を知り、そういった悪い物が人間に蓄積し、遺伝子を変えてしまうのではという考えには納得しました。
ただ、何の根拠もありませんが、個人的にはそうなるにはもう少し時間がかかる気がします。マイクロプラスチックも、現時点では人間に対する悪影響は明らかにはなっていないようです。
それよりも、最初から悪い人間なんておらず、愛情を注がれずに育った人間が周りに悪影響を及ぼすと考える方が現実的であると思うし、そうであって欲しいという願いも含まれています。
ホラー小説からここまで考えることになるとは思いもしませんでしたが、現代社会の課題の1つであると思いますし、将来直面する大問題になる可能性も全く無いとは言えないのではないのでしょうか。
考えや言いたいことが多く、毎回感想が長くなってしまいすみません。
この記事を読んで、皆さんが少しでも興味を持って頂けたら幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。