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大きな空の下の小さな街で。
言葉を綴りたいと思って、
仕事の帰りにカフェに寄った。
ラップトップを抱えて。
アーモンドミルクのデカフェ。Lサイズのマグ。
いつもの注文でオッケー?
と、バリスタの彼が言ったので、うんと答えた。
名前も知らない彼。
彼も多分、わたしの名前は知らない。
お会計をしながら、
バリスタの彼は言う。
この間ここに、あなたの友達が来たよ、と。
誰のこと?と聞くと、
名前は知らない、と言う。
白人で背が高くてヴィーガンの男の人だよ、と。
ああ、ベンのことか、と私は思って、
ああ誰のことか分かったよと言った。
名前も知らない誰かが、
名前も知らない誰かと会って、
名前も知らない誰かのことを話している日常がある。
ここは小さな町だ。
とても惹きつけられる町だ。
人との距離が近い町だ。
空が高くて無限に広がる町だ。