豚提督オジャム2 サイレント ネオ-ムーン ソング
このような折、カイバへの影響力を強めたい北閥は、シャギとの結びつきをさらに強めていた。
北王フィヨルド3世は、惜しげもなくシャギ党に資金援助をし、時には最新鋭のCAも送った。その中にはこの時期、非常に稀少性の高いとされる高機動パンツァーも含まれていた。
シャギはいたく感激し、北王のことを「北のオジキ」と呼ぶまでになっていたのである。
北閥の援助を受けて力を強めていたシャギは、いよいよ提督の座がほしくなっていた。
何かと楯突くソデが、目障りだったからである。
しかし、ソデはソデでシャギ党の動きに気付いていた。
ただ金に強欲なだけの男ではなかったのである。
ソデは挽回の一手として、ムーンキングダムのシャローンに連絡を取るようになった。
そして、提督のオジャムを押し立て、旧臣を率いてシャギ党を打つ段取りをとりつけた。当然、シャローンが軍を率いてくる前提であった。
だが、すでに家臣から愛想をつかされていたソデの動きは、シャギ党の知るところとなったのである。
「あの強欲の狸爺が! 誰のおかげでバカ息子が提督になれたと思っているのだ!」
シャギは大いに怒った。
そして、ついにはソデを抹殺することに決めたのだった。
翌日の早朝の朝議でのことである。時間になってもシャギ党の姿は政庁になかった。
不審に思うソデであったが、居合わせた者だけで会議を開くことにした。
しかし、大臣たちはうつむいて口さえきかない。
「大臣がた、何をしておるのじゃ。さあ、さあ、早く各自報告をしなされ」
ソデが手を叩いてうながすが、誰も口を開かない。それどころか、意を決したように立ち上がり、1人、また1人と会議の場から去っていく。
「な、なにをしておる! 提督閣下の前で無礼であろう! 貴様ら、職務を何と心得る」
ついには、会議の場にオジャムとソデしかいなくなった。
「いったいどうなっておるんじゃ。この大事な時期に…」
すると、1人の警護兵が駆け足でやってきた。
「ソ、ソデ様、大変です。シャギ党が兵を引き連れて…」
警護兵はそれだけ言ってバタリと倒れた。腹部に銃弾がめりこんでいたのだ。
「あわわわ…」
腰をぬかすソデとオジャム。
窓を見下ろすと、政庁の周りをCAの大軍が取り囲んでいた。
つづく…
本日は2本立て
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