砂漠の陣8-サイレント・ネオ-boy meets girl-
もともどムドーは、北閥最強と呼ばれるシュトライツァー党の副将だった男である。シャギはまだ完全に、この男を信用をしていなかったのだ。
「さようでござりますか……」
一歩前に出たムドーはわずかに眉間に皺を寄せながら答えると、元の位置に下がった。すると、今度はガスズがやはり勝手に話しはじめた。
8
「しからば、この俺に任せてもらおう」
「若造、まだ言うか……お前のような若輩者に我が一軍を預けることなどできようか!」
シャギはこう言ったが、すかさず軍師のマーバイムが近づいて耳打ちした。
「閣下、良い機会です。何かと生意気なこの若造を試してみたらいかがですか?」
「若造を試すと…? 失敗するのが目に見えておるのにか!?」
「失敗したらムドー様にでも代わりをお願いすればよいだけ。現状、序盤戦がうまくいっていないのも事実。ここで、流れを変えるのも悪くないかと……」
「なるほど、流れをのう……」
「仮に若造一人失っても、シャギ党には痛くもかゆくもござらぬ。万が一、この若造本人が言うような優れたパイロットならば、もうけものというもの」
「なるほど、この青二才が死んだところで、われわれには何の害にもならぬ。そればかりか、活躍すればララへの道もおのずと開くと言うもの」
シャギは仮面の下でにやりと笑うと、
「よかろう。ガスズとやら、存分に働いて武功を立てい! して、あの3砦を落すのに兵は何機必要じゃ!?」
「不要だ、おれ1人で行く」
「な、なんじゃと!?」
これにはシャギだけでなく、その場に居合わせた諸将がみな一様に驚きを隠ず、声をあげた。
サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)
BGM
-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?
ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。
ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。
マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。