プロローグ4-3(ガスズの仕官)-サイレント・ネオ-boy meets girl-
刀をつきつけられたシャギは額からたらりと汗を流し、手をかけていた帯刀を握るのをやめた。
「ほ、ほう…剣の腕はなかなかのものだ…だが、CAの腕はどうかな…」
「試してみるか、シャギのおっさん…」
シャギは身体を硬直させながら、ひきつった笑いをみせた。
すると、一連の騒動を見ていた客将のムドーが、笑いながら拍手をした。
手を叩く乾いた音が緊迫した部屋に響く。
「いや、お見事、お見事。これはシャギ殿も一本取られましたな。そちらの若者…ガスズといったな。
ガスズ殿も剣をおさめられい。何事も引き際が肝心。やりすぎれば命を落とす。覚えておきなされ」
ガスズはこの言葉を聞き、刀をすばやく鞘におさめて音を響かせると、シャギの間合いからさっと離れた。
ムドーは再び切り合いにならないようにシャギとガスズの間に入り、言葉を続ける。
「シャギ殿、この若者を雇うべきです」
「こ、この生意気な小僧を雇えですと!?」
「シャギ殿、失礼ながら今まで何百と仕官にやってきた人間を見てきましたが、残念ながらろくなやつは1人もいない。だが、この若者は違う。本物です。雇いなされ」
「しかし、我々はこの若造の腕を見てござらん」
「勘ですよ。強い者は一目でわかる。雇いなされ」
「ム、ムドー先生がそこまでおっしゃるならば、し、仕方ありませんな」
シャギはこめかみをひくひくさせながらも、ムドーを立てて、その言葉に従うつもりだ。
「俺を雇ってくれるのか?」
すっかりシャギを侮蔑したガスズは、相変わらずのけんか腰である。
「ああ、だが若造よ。長生きしたければ言葉には気をつけろ」
「長生きか…別に俺は命に執着はないが…まあ、言葉には気を付けさせていただく」
ガスズはそういうと、わずかに頭を下げて一礼し、シャギの前から颯爽と退出していった。
その背中をシャギだけではなく、家臣たちは苦々しく見つめるばかりだった。
つづく…(次回よりシャギの野望)
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樫の木庵のマボ
サイレント・ネオ-boy meets girl-
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