フウコと小オアシス15-サイレント・ネオ-boy meets girl-
「ムサシ、なんであなたがいるの?」
「やっぱり、ムサシ君、君も一緒に…!?」
「オジャム、勘違いするなよ。俺はただ、うるさいからとめにきただけだ、さあ、話してくれ、そのモーラ一家とやらのことを……」
すると、村人が顔を見合わせて何やら相談をはじめ、それから髭の男が乗り気ではないものの、重い口を開いた。
15
「モーラ一家というのがここ数年、この村に目を付けて略奪を働くようになったのさ。一家を率いるモーラとかいう盗賊はそれは恐ろしい奴でな。なんでも、元シャギ10将の1人だって噂だ」
「シャギ…」
オジャムとテディ・Dは眉をしかめて、因縁浅からぬ名前が出てきた互いに顔を見合わせる。
「そうだ、あんたらも知ってるだろう、モーラはあの残虐非道の仮面騎士の手下だったのさ。モーラはシャギがカイバに迎えられたのを機に、離脱して30人はいる家来と、砂漠でおいはぎの類を続けていた。しかし、砂漠を治めるララの取り締まりがきつくなって、南、南に追いやられてきた。
ここらは、ララから離れすぎて、どこの統治下にもなっておらぬ。
そんな村が砂漠にはぽつぽつ点在しているわけだが、この村は運悪くターゲットになってしまったってわけだ。俺たちは代々この村で生きてきたから、離れるわけにもいかず、耐え忍んでいるわけだ」
「なるほど、それでそのモーラ一家と取引して、子供を毎月1人、引き渡すことにしたんだな」
「ああ、そうだ、おれたちだって辛い。しかし、子供はまだ生むことができる。それで村が略奪から救われると思って、ぐっとこらえているんだ」
「そんな……だから、フウコを盗賊に引き渡してもいいってわけ。フウコの人生はどうなるのよ!?」
我慢できなくなったテディ・Dが問いただす。
「それは……」
村人はいっせいにうつむき、だまりこくってしまった。
サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信中)
BGM
-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?
ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。
ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。
マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。
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