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コンクリオン家の悲劇7 サイレント ネオ-ムーン ソング

シャローン編 第1話・先行配信中

それからすぐに、エピ・コンクリオンら3人が会議の場に通された。
居並ぶ家臣たちは左右の壁に縦列で並び、威圧的な雰囲気でエピら3人が入ってくるのを迎える。
エピら3人は前に進み出てひざまずき顔をあげると、月歌中央一の美提督と噂されるシャローンに一瞬目を奪われた。
しかし、すぐに改まってエピが口を開いた。
「シャローン様、突然の訪問申し訳ございませんぬ。我らコンクリオンの一族は、砂漠基地に籠り逆賊シャギ党と対峙することと相成りました。
つきましては、大都督のお慈悲にすがらせていただきたく、援軍の使者としてやってまいった次第でございまする」
シャローンを始めキングダムの家臣たちは、エピの言葉よりもその姿に驚かされた。
疲労困憊したエピら3人の顔には隈ができ、疲れ切っていたのだ。
実際、エピら3人が乗ってきたCAは、いたるところにひどい損傷が目立っており、道中の困難さを物語っていた。

エピの申し出を聞くと、家中一のうるさ方と言われる老臣グリフォンが真っ先に口を開いた。
シャローンは何かとしゃしゃり出るグリフォンを嫌っていたが、親子3代に仕える功臣であるため我慢していた。
「やい、コンクリオン家のこせがれめ。何と虫の良い申し出であろうか。いったい貴君らを助けて、我らキングダムに何の益があるというのか!?
いや、むしろあるのは害ばかり。お主たちは我がキングダムに災いをもちこむためにやって来たか否か!?」
すると、エピはきっと巨漢のグリフォンをにらみつけた。
「おっしゃるように我らの申し出、あまりに都合が良いことに相違ありませぬ。されど、援軍を受けたあかつきには、我らコンクリオンの一族、命にかえても恩を返す所存であります」
エピの言葉にグリフォンは顔をそむけて、
「ふん、口では何とでも言えるわ!」
と吐き捨てた。
すると、「セン!」というエピの呼びかけに、後ろに控えていた従兄弟であるセン・コンクリオンが「兄上、あとは任せた!」と答えた。
そして、腰に差す剣を引き抜く。
「セン、俺も少ししたらお前を追うぞ!」
エピの言葉を聞きセンは微笑むと、「ご家中の方々、これがコンクリオン家の覚悟、しかとご覧ください!」と叫び、抜いた剣をおもむろに自らののど元につきつけた。
近くにいた家臣が慌ててセンを止める。
「はなしてくだされ! 我がコンクリオンの一族、誰も命は惜しみませぬ。私が死んで証明し、シャローン様の信を受けとうございます!」
このコンクリオン家の気迫に「なんという者らだ…」とグリフォンだけでなく、家中の者はみな言葉を失った。
一連の騒ぎを微動だにせずに聞いていたシャローンは、突如立ち上がって叫んだ。
「貴君らの覚悟しかと受け止めた。一同、支度をせい、出陣の準備だ!」
エピら3人の命がけの行動は、シャローンの心を動かしたのだった。

しかし、家臣たちは誰1人納得せずに、動こうとしなかった。
いや、シャローンのよき理解者であるシャルル・コンクエストのみは、賛成の意を示して拳と手のひらを突き合わせて一礼したのだが…。
「シャローン様、いったいどうなされました。家臣一同、納得いくものはおりませんぬ!」
メルセデウス股肱の臣とよばれる隻眼のミトが、多くの思いを代弁した。
「ミトよ、いや、みな聞くがよい。今、エピ殿らコンクリオンの一族を見捨てることは、あまりにたやすいことである。
しかし、世間はそれに対してどう思うであろうか。頼ってきた者に手もさしのべず、義をはたさない人間として何と冷たい者よと私とキングダムを見損なうのではないか!?」
「しかし、あまりに急ではありませんか。今回の件、断ったとしても、いかしかたありませぬ」
ミトが反論する。
「確かにそうかもしれぬ…しかし、シャギ党は世にいう荒くれ者、そのようなものにカイバが奪われれば、泣くのは市民である。
それを見逃すは、月歌を束ねるキングダムの提督としては失格である。
また、役目のため命を捨てること厭わぬコンクリオンの一族こそ、真の騎士。これからの世に必要な者とは、こういう者たちのことを言うのだ。
それを見殺せば、何と人を見る目がない提督と世の笑いものになるであろう。お主たちが反対するのであれば、私1人でも援軍に向かうまいぞ!」
シャローンの気迫に、家中の者たちは圧倒され、返す言葉がなかった。
シャルル・コンクエストはこれを聞き、「さあ、御家中のお歴々、戦の準備をしましょう!」と答えた。
これを聞き、エピら3人が身体を震わせ涙を流したのはいうまでもない。
しかし、その時、コンクリオン家の家臣、オルデン・カミンスキが悲報を持ってキングダムに到着したのだった。

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遥ナル
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