砂漠の陣11-サイレント・ネオ-boy meets girl-
「ムドー殿は買いかぶられておるのではござらぬか? 若気の至りということもござりましょう」
「そう言いながらも、眠れずにマーバイム殿も来られたと言うことは、何か気になってござるのであろう」
ムドーは手酌でラム酒を自らのグラスにつぎながら言った。
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「確かにその通りでござる」
「マーバイム殿が言うように無謀な恐れ知らずの若者かもしれぬが、仮に優秀な人材ならば、犬死するような戦はさせるべきではござらぬ」
「しかし、もうシャギ閣下の御命令は下っておる。変えることはできない……ムドー殿、思うにあの若造、大口をたたいて後に引けなくなり、今頃は逃げる支度でもしているのではござらぬか?」
「まさか…そのような小物ではなかろう」
「うむ…」
この後しばらく沈黙が続き、酒を飲んでのどがなる音だけが響いたが、ムドーが再び口を開いた。
「マーバイム殿、ちょっと私がガスズ殿に真意を尋ねてみようと思うが…」
「そうですな…あの何を考えているかわからない若者の思う所、知っておくのも参謀のつとめ」
「そうと決まれば、早速ガスズ殿を尋ねてみよう」
ムドーは立ち上がると、マーバイムを残してガスズの部屋に向かった。
ムドーがガスズの部屋をたずねると、部屋の電気はついており、開口一番こう言われた。
「やはりムドー殿、こられましたな」
「やはり?」
部屋に通されたムドーが怪訝そうにたずねた。
「そうでござりましょう。どんな名将とて、たった一機で150機が守る砦に挑むは、 無謀を通り越し愚の骨頂です。さしずめ、参謀あたりが逃げるか心配して、ムドー殿が探りにきたのでしょう」
百戦錬磨のムドーも、ぴたりと真意を言い当てた若者を相手に、若干たじろいだ。
「し、しからば、なぜガスズ殿は…!?」
サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)
BGM
-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?
ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。
ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。
マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。
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