剣客商売第3巻 第7話「深川十万坪」
さいしょに。
池波正太郎著「剣客商売」は、江戸の町を歩いている気にさせてくれます。場所の書き方がとても具体的なのです。
地図で探してみようと思いました。願わくば自分の足でも。
どうぞご一緒に。
深川十万坪を探す
地図1深川十万坪
埋め立て・埋め立てで、埋もれてしまった十万坪。
・・多分、木場公園じゃないかな?と思いつつ。←違いましたっ!
はたして十万坪とはどこなのか?切絵図と対照してみようと思った。
※数字付場所は下の切絵図にも有。頭の中で描いて?重ねて?みてくださいね。
切絵図:十万坪周辺。
重ねると、堀が際立つ。大地の記憶は持つってことか?
川:一番上は「小名木川」赤矢印を入れた。/次の右下に落ちていくのが仙台堀(仙台堀川)同じく赤矢印/小名木川と直交して掘られ、仙台堀で著と曲がるのが横川。地図的にはタテ川だった。
ちなみに、小名木川の上(北)は「木場」です。あ。材木置き場は仙台堀の南・横川の西の一角にもある。オヤ。仙台堀の北にもある。
赤〇:富岡八幡宮をまず目印にして〇を付け、上に霊巖寺、海側に木場洲﨑神社(下図)。「洲崎」一帯は、グーグルマップでは地べたに覆われた中にある。
「深川十万坪」は、商人が申請した場所なのだそうだが、周辺、大名家の白も埋め立て中だと思われ。先人のお力に頭が下がります。
下図は、切絵図の下をちょん、と切ったもの。左側に『洲崎(崎の山が偏でなく冠になっている)ト云』、とあり、右側赤い枠(寺社のマーク)『弁天吉祥寺』とある(と、見えているんだけど、どうでしょうね?)。明治の廃仏毀釈で神社となる・・・そうです。・なんか、謎解きみたい♪
いつもお世話になっているサイトのご紹介。地図だけじゃなくて錦絵も紹介されていました。ぜひ。 ありがとうございます。
第7話 深川十万坪
地図2深川
梅雨の晴れ間。小兵衛はおはるをデートに誘った。
「ご飯支度やめてさ、いい天気だから八幡様に行こうよ」・・みたいな。
地図3屋敷含み
狼藉侍の⑬下屋敷。⑭上屋敷も掲載。
侍群は、江戸城の長屋から深川まで遊びに出て、不埒なふるまい、夜襲をかけて・・と、けっこう長距離(ほぼ4.5㎞)を往復していることになる。
ちなみに、鐘ヶ淵から富岡八幡宮までは・・・えっ、8㎞。おはるさんが舟を繰れるから深川デートの贅沢ができるのだ。納得。
抜書(太字は地名/丸数字アリは地図に載る)
255)深川の八幡さま 256)②万年橋の③征木稲荷の④船着き。
257)大川が、新大橋の先から東へ流れ入る小名木川は川幅二十間。その川口に②万年橋が架っている。この川は、むかしむかし、徳川家康が江戸入国と同時に通じさせたもので、長さは一里十町。千葉の行徳の塩を舟で江戸へ運ぶため、堀り通させたものだそうな。
④万年橋の北詰、大川と小名木川が合する角地に③征木稲荷の社がある。小さな社だが、大川のながめをほしいままにする場所で、わら屋根の風流な茶店があり、この下が(舟着き)になっている。
257)③稲荷社の境内をぬけ、②万年橋の④北詰へ出た。又八に会う。
「➀八幡様へお詣りをしてから、⑤熊井町の翁蕎麦へいこう」
切絵図:すぐ下、・松平遠江守の文字の左の赤い四角が「征木稲荷」そのそばの橋が「万年橋」。熊井町は絵図一番下、でっぷりお腹風のカーブの下の方。左下角。海に近くておいしい魚介類がありそう!
263)⑥三好町の大島屋という枡酒屋の金時婆さんですよ/276)道の向こうは、堀川をへだてて島崎町の材木置場だ。
以下は、男の子が殴られた説明の部分。 切絵図では、
264)(侍の狼藉)大川に面した⑦清住町の河岸通りで、通りかかった町屋の娘にからみ。男の子が釣り竿で抗→⑧牧野備前守・下屋敷(別邸)前まで逃げ、②万年橋へかかったところで侍どもにつかまってしまった。
266)⑨深川の今川町に〔仙台堀の政吉〕という御用聞きがいる。
政吉の口利きで小兵衛が金時婆さん宅に寄宿することに。
268)エピソード1.⑩三十三間堂の裏河岸 2.⑪扇町の北側の堀川 3.⑫伊勢崎町の米屋の前
その夜、襲撃が。
281)生け捕った覆面の侍は、政吉が今川町の〔自身番〕へ、今朝、茅場町の〔大番屋〕へ連行した。
284)(尾行)⑬浅草・鳥越の松平屋敷。勢州・桑名十万石、松平下総守。本邸は⑭江戸城・西ノ丸下、和田倉門内にある。現代の皇居の二重橋前・広場の一角だ。
逮捕の侍は舌を噛み切って死、小兵衛は遺体を上屋敷へ・啖呵を切る。
その夜、今日のお礼を申したく⑬浅草・鳥越の下屋敷にお出向きください、と人が。迎えの駕籠に乗る小兵衛。だが、さほど時間を要さず駕籠は地面に降ろされた。
296)そこは鳥越どころか、いちめんの葦の原であった。
此処は俗に⑮〔十万坪〕と呼ばれている埋立地で、享保のころに深川の商人が幕府へ願い出てゆるされ、十万坪築地の新田開発をしたわけだ。だから〔千田新田〕ともよばれているが、人家もほとんどなく、田畑もすくない。ただもう葦の原に松林が点在するといった風景で、これが、深川の木場(江戸の材木商が集中している町)のすぐ近くにあるとは思えないほど、一種、荒涼たる景観を呈していた。
小兵衛は襲われて抜刀する。「血を見ずにすまそうとすれば、たわけたまねを」297
301)・・・どこかで雷が鳴った。おはるが、
「あれ、雷さまだ。梅雨が明けるよう」
おしまいにあたり
本記事にて第3巻は完了です。
いつもご訪問いただき、ありがとうございます。
なお(↓)、いつもの付録、地図Aです。
地図A
〇地図説明
・・・不要の方は飛ばしてください・・・
地図A
👆は地図ですので、拡大縮小できます、ぜひ、詳細をご確認ください。
ご覧いただきありがとうございます。今日も良き日でありますように。