酔いの口

奇譚怪談。 不思議な話、怖い話、そして音楽とお酒が好きなおじさんの「宵」ならぬ「酔い」に任せた徒然日記。3児の父。

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奇譚怪談。 不思議な話、怖い話、そして音楽とお酒が好きなおじさんの「宵」ならぬ「酔い」に任せた徒然日記。3児の父。

最近の記事

酔いの口 その三 : 鍵

Yさんが専門学校時代の話。 ロック•ミュージシャンになる事を夢見て埼玉の実家を 離れ神奈川県の綱島で一人暮らしをしていたYさんは、 音楽の専門学校に通っていた。 住まいは8畳ほどの1DKの小綺麗な単身者用の マンション。 各階の部屋数はさほど多くなく、たしか10階建て、 縦に長いマンションだったと筆者は記憶している。 さて、待望の一人暮らしと夢への第一歩ということで希望に満ち溢れていたYさんであったが、大概の学生がそうであるように彼もまた、初年度の夏を経て秋になる頃にはす

    • 酔いの口 そのニ :「なんで知ってるの?」

      久々に高校時代の友人と合い、懐かしい話に花が咲きました。毎年年末とGWには必ず集まっていたのに、ご時世柄中々会えずでしたので嬉しい限り、飲んだ飲んだ。 で、そんな中会った友人Aさんのちょっと怖い話を思い出したので書いてみました。 この話(1992〜3年)、実はこの後20年くらいかけて解決?していく事案の始まりのお話。 続きはまた、ポツポツ書いていきます。 ———————————————————— Aさんが高校3年生の時の話。 埼玉県大宮市(今のさいたま市大宮区)で少し広い戸

      • 酔いの口 その一 : 寅子石

        産まれも育ちも埼玉県。「ダサい」なんて言われていた頂点の時代(多分90年代)に多感な時期を過ごしていたけれどあの「ザ・武蔵野」の、のんびりした感じが今だに大好きで。上尾とか桶川とか、住んでいた蓮田とかの田園と工場地帯の風景は、埼玉を離れた今も僕のルーツのひとつだったりします。 大学時代、スーパーカブに乗って気晴らしに駆け抜けていた時の、そんな田園にぽつんとあった慰霊碑に衝撃を受けたお話。  子供の時からお祭りや学校行事で耳にしてきて、なんなら空で歌えてしまう歌のひとつが「

        • 酔いの口(はじまり)

          幼少期からなぜか「不思議な話」「怖い話」が好きで、30年以上未だにそんな話に心惹かれています。 「心霊」なのか「妖怪」なのか人間の業なのか、はたまたそれは「民俗学」なのか。それとも90年代に多感な時期を過ごしたせいなのか? 験を担ぐことには積極的だけど実はあまり信心深くなく、世に言う「見える」事も全くない僕がなぜにこの「不思議な話」に長い間ロマンを感じているのか。 自身への問題提起でも結論を求めている訳でもないのだけれど、ずっとそれに心を動かされている僕の独り言を徒然に記して