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未知との遭遇

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

1977年のアメリカ映画。世界各地で発生する UFO 遭遇事件をはじめとして、地球へやって来た異星人とのコンタクトを描く、スティーヴン・スピルバーグ監督の SF の傑作です。原題 "Close Encounters of the Third Kind"。

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ファーストコンタクトものの名作

わたしは宇宙が大好きなので、SF映画は好んでよく観ます。
一口に「SF」と言っても扱われるテーマは多岐にわたっていて、作品は様々。さらに細かくカテゴライズすることができるんですよね。

SF のサブジャンルの例
○『スター・ウォーズ』のような「スペースオペラ」
○『ブレードランナー』のような「サイバーパンク」
○『猿の惑星』のような「タイムトラベル」もの
などなど……。

本作『未知との遭遇』は「ファーストコンタクト」もの。未知の地球外生命体と地球人との遭遇をテーマにした作品です。

ファーストコンタクトを描いた映画にも様々な作品がありますが、わたしの中では本作が “一番最初” で “代表作” と呼べるかもしれません。

第三種接近遭遇

公開当時、わたしは小学生。テレビで流れていたこのCMが印象的で、今でも覚えています。

第一種接近遭遇
UFO(未確認飛行物体)を至近距離から「目撃」すること。
第二種接近遭遇
UFO(未確認飛行物体)が周囲に何かしらの影響を与え、物理的な「痕跡」を残すこと。
第三種接近遭遇
UFO(未確認飛行物体)の搭乗員と「接触」すること。

うわぁ…… ドキドキする~!笑

この三段階の分類は、本作のスーパーバイザーを務めたジョーゼフ・アレン・ハイネック博士(天文学者/アメリカ空軍UFO研究機関の元顧問)が著書『UFOとの遭遇』で述べたもの。

本作の原題は "Close Encounters of the Third Kind"。

まさにこの分類の「第三種接近遭遇」がタイトルだったのですね! これを『未知との遭遇』と訳した邦題も、なかなかグッジョブだと思います。

スピルバーグは人を楽しませる天才!

言わずと知れた超メジャー映画監督、スティーヴン・スピルバーグ

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『ジョーズ』(1975年)、『E.T.』(1982年)から『レディ・プレイヤー1』(2018年)まで、数々のヒット作を生み出し、代表作を挙げたらキリがないほど。

この夏(2020年7月)『レディ・プレイヤー1』がテレビで放送された時も、映画好き&ゲーム好きのわたしは、めいっぱい楽しみました♩

スピルバーグ作品の中で

「この人、やっぱり才能の塊なんだなぁ……」
「すごいなぁ!」

と、つくづく感心したのが『激突!』を観た時。

トラックがね、とにかくまぁ、怖いのです!

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激突!』にしても、『E.T.』 にしても、『ジュラシック・パーク』にしても、スピルバーグ作品の醍醐味は “チラリズムの妙”!!

『激突!』の執拗なトラックの運転手。観客は「いったいどんな人物なんだろう?」と、強い好奇心をずっと維持させられます。運転手の顔が最後まで出てこないから。

『E.T.』の序盤は、チラリ、チラリ……と E.T. の姿を小出しにして、時間をかけて観客を “じらす”。余計に「見たい~!」という気持ちになるし、実際にスクリーンに全容が映った時、「うわぁー!」という驚きが大きい。

『ジュラシック・パーク』のコップの水が振動するシーンなんて、もう最高ですよね!!

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すごいのは、これらの演出が、実に見事にハマっていること。

観ていて作り手側の “あざとさ” を感じるような “わざとらしい” 演出―― というのが、スピルバーグ作品ではほどんどない。気持ち良く監督の演出に乗ることができてしまうのです。

本当に、スピルバーグは「人を楽しませる天才だなぁ」と思います。

いろんなバージョン

本作には、下記の3つのバージョンがあるそうです。

オリジナル劇場版(1977年/135分)
劇場公開時のオリジナルバージョン。
特別編(1980年/132分)
新たに撮り下ろしたシーンを加え、編集し直したバージョン。
マザーシップ内部のシーンがあるのが一番の特徴。
ファイナル・カット版(1997年/137分)
「オリジナル劇場版」と「特別編」の “いいとこどり” バージョン。

そのほかに

○ 初期ソフト版
VHS、LDで発売された際にメディア上の制約で編集されたバージョン。
○ テレビ放映版(ABC)(143分)
オリジナル劇場版に特別編の追加シーンを盛り込んだバージョン。

の2つが存在していたそう。

SF映画のフォントはカッコいい

本作のタイトルに使われているフォント。カッコいいですよね~!

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これです。

あまりにもカッコいいので、鑑賞後すぐ、調べちゃいました♩
(デザイン好きなフォントオタク。笑)

"Handel Gothic" というフォントらしいです。

以下、Wikipedia(英文)より。もりはるひ訳。
[備考]"Handel" の正確な読み方が不明なため「ヘンデル」としています。(もし違っていたら、ごめんなさい)

「ヘンデルゴシック」は幾何学的なサンセリフ書体です。
1960年代中頃、グラフィックデザイナーであるソール・バスの元で働いていた Donald J. Handel(1936~2002)によってデザインされました。
ソール・バス・スタジオにてワーナー・ブラザースのロゴ(1972年版)を開発した時の付属書体でした。
バスが開発したユナイテッド航空のロゴ(1973年版)にも使用されました。 セサミストリートのエンドクレジット(1983~1992年)にも使用されていました。
(中略)
「ヘンデルゴシック」は、その未来的なデザインで1980年代に人気を博したフォントであり、今日でも未来を表現するのに使用されています。
スタートレック:ボイジャー』や『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』のクレジットのほか、『未知との遭遇』のロゴにも使用されています。

ワーナー・ブラザースの1972年版のロゴが、こちら。

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おお、確かに! Handel Gothic ですね。

ユナイテッド航空の1973年版のロゴは、こちら。

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おお、Handel Gothic だ。

っていうか、このフォントの誕生に “あのソール・バスが絡んでくるとはっ!(興奮♩笑)(オタクな話題で失礼♡)

フォントをデザインした方(Donald J. Handel)はソール・バスの元で仕事をしていた方なんですね~。

ソール・バスが手掛けた映画についてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ♩

わたしの心に残るシーン

わたしが本作を観て、印象的だったシーンを2つ挙げてみたいと思います。

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1つめは、平凡な電気技師・主人公のロイ(リチャード・ドレイファス)が UFO を目撃して以来、取り憑かれたように「山」を作り始めるところ。

寝ても覚めても「山」。「山」のことばかりが頭に浮かんで離れない。その執着は次第に病的なまでにエスカレートし、妻子も怯えだします。でも止められない。――その描写がとても印象的でした。ロイの狂おしいほどの衝動が伝わってきます。

特徴的な形のこの山は「デビルズタワー」(Devils Tower)という、アメリカにある実在の場所。ワイオミング州の観光スポットにもなっているそうですよ。生で見たら、迫力があるでしょうね~!

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2つめは、やっぱりマザーシップ降臨のシーン! 圧巻でした!

フランス人科学者のラコームを演じているのは、なんとフランソワ・トリュフォー! ゴダールと並ぶ、ヌーヴェルヴァーグの映画監督です。代表作は『大人は判ってくれない』(1959年)など。

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SF 嫌いを公言し、自作の映画にしか出演しないことで有名なトリュフォー。スピルバーグが懇願し続けて出演が実現したのだとか。

クライマックスのこのシーン、異星人との交信に「音楽」を使っているところが良いです♩ 音楽というか、実際には5つの音階(5 tones)なのですが。

この交信メロディも含めて、本作の音楽を手掛けているのは、スピルバーグと何度もタッグを組んでいる映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズ

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異星人とのファーストコンタクトを描いた作品といえば、もうひとつ思い出すのが『メッセージ』!(2016年/原題 "Arrival")

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この作品で描かれる異星人との交信方法も、また素晴らしいアイディアで――。そちらについては、また別の機会に♩

下のインタビュー映像では、スピルバーグご本人がメッセージについても触れていますね。

(若干ネタバレシーンがあるので、未見の方はご注意ください!)

他にも、『ブレードランナー 2049』、『DUNE/デューン 砂の惑星』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の J・J・エイブラムス監督が『未知との遭遇』について語っています。豪華!

なんだか、また『未知との遭遇』が観たくなってきちゃったなぁ。
Netflix にあるみたいなので、観てみようかな♩


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