ニューヨーク1997
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
1981年のアメリカ映画。舞台は、近未来のNY。丸ごと巨大な刑務所と化したマンハッタン島へ、大統領救出のため元特殊部隊の囚人「スネーク」が単独潜入する SFアクション作品です。原題 "Escape From New York"。
監督は『ハロウィン』、『遊星からの物体X』のジョン・カーペンター。主演は『ヘイトフル・エイト』、『バックドラフト』のカート・ラッセル。共演に、リー・ヴァン・クリーフ、ハリー・ディーン・スタントン、アイザック・ヘイズ、ドナルド・プレザンス、エイドリアン・バーボー、ほか。
今回の記事は、マニアック回になる予感……笑
まず最初にお断りしておきますね。
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今回の記事は、マニアック回になりそうです。笑
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なぜかというと、今回ご紹介する『ニューヨーク1997』は、一般的にはあまり知名度が高くないものの、一部の「ゲームファン」と「B級映画好き」の間では知る人ぞ知る―― という作品なのです。
え、わたし?
わたしはもちろん、あの大好きなゲームシリーズをきっかけに本作の存在を知ったクチです。
そのゲーム作品とは――
『メタルギアソリッド』!
(METAL GEAR SOLID/略称:MGS)
わたしと同様、MGSシリーズがお好きな方は、この画像を見ただけで、ある種の感慨をもって懐かしさを感じられるのではないでしょうか?
『メタルギアソリッド』シリーズのこと。
MGS(メタルギアソリッド)シリーズとは、ゲームファンの間で絶大な支持を得ているゲームデザイナー小島秀夫監督が、コナミ在籍時代に製作した人気ゲームシリーズです。
小島監督は 2015年にコナミを退社後、自ら設立した株式会社コジマプロダクション(略称:コジプロ)の代表としてゲーム開発を続けています。独立後 2019年に発表した『DETH STRANDING』(デス・ストランディング)を含め、これまでに数々のゲーム賞を受賞。世界中に熱狂的なファンも多く、「コジマ・イズ・ゴッド」と崇められています。笑(ファンの間のネタみたいなものです)
MGSシリーズの中でわたしがプレイしたのは、Play Station 時代に夢中で遊んだ『メタルギアソリッド』(1998年)に始まり、最終作『メタルギアソリッドV ファントムペイン』(2015年)まで、こんな感じ――
○メタルギアソリッド(1998年/Play Station)
○メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ(2001年/PS2)
○メタルギアソリッド3 スネークイーター(2004年/PS2)
○メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(2008年/PS3)
○メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年/PSP)
○メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ(2014年/PS3)
○メタルギアソリッドV ファントムペイン(2015年/PS3)
あっ、自作した上の画像…… ピースウォーカーが抜けてますね。あちゃー!汗
※多数発売されている派生作品(『MGS2 サブスタンス』、『ポータブルオプス』等)を含めるとキリがないので、ここでは省略。
※ハードが MSX2時代の初期2作品は、未プレイです。
○メタルギア(1987年/MSX2)
○メタルギア2 ソリッドスネーク(1990年/MSX2)
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MSGシリーズの魅力をひとことで表すのは難しいのですが、個人的にわたしが大きくハマった第一の理由は “映画のようなゲーム体験” だったこと!
――というのも、そもそも、このゲームを作った小島監督ご自身が、かなりディープな映画マニアでいらっしゃるのです。これはファンの間でも有名なお話。小島監督による、こんなご著書もあるくらいです。
MGSシリーズのゲーム作中に出てくるムービー部分は、カメラワーク、構図、編集手法、音楽の使い方―― などなど、映画の手法がふんだんに使われており、熱い興奮や深い感動を体験させてくれます。
ゲーム業界のクリエイターである小島秀夫さんが、小島「監督」 と呼ばれている所以です。
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後期の作品になればなるほど、実際にプレイする(プレイヤーが操作できる)箇所に比べて、(観るだけの)ムービー部分の割合が異様に多いため、ゲームというよりは限りなく映画に近い「ムービーゲー」などと揶揄されることもありましたが、これは好き好きですね~。
実際、YouTube には「観るMGS」というチャンネルまであって(公式ではなくファンによるアカウントだと思われます)、ゲーム作中のムービー部分だけをまとめた動画が観られたりします。
このチャンネルが配信している各コンテンツの尺を見てみると、「MGS」が 4時間15分、「MGS2」が 5時間50分、「MGS4」が 8時間(!)、「MGSV:TPP」に至っては 9時間半(!!)笑 ――と、映画2~3本分もある長尺なんですよね。すごい見応え……。
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そんな “映画大好き” な小島監督ですから、ハリウッドなど映画業界人との親交も多く、映画監督の J・J・エイブラムス、ギレルモ・デル・トロ、ニコラス・ウィンディング・レフン、映画プロデューサーのアヴィ・アラッド、俳優のキーファー・サザーランド、ノーマン・リーダス、マッツ・ミケルセン、レア・セドゥ、リンゼイ・ワグナー、など―― 錚々たる顔ぶれ。
その気になったら映画の一本くらい作れちゃうんじゃないかしらん♩笑
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大好きなMGSシリーズについて語っていると際限なく続きそうなので、このへんで無理やりまとめます(笑)と、前述のような “映画好きの心をグッと掴む” 作風のほかにも、
○シリアスで壮大なゲームシナリオの面白さ
○豪華声優陣による素晴らしい演技(*)
○「敵に見つからないよう隠れて進む」ステルスアクションというゲーム性の面白さ
などが MGSシリーズの魅力なのではないかなぁ、と思います♡
*MGSシリーズ 出演声優陣:
大塚明夫さん(スネーク)、青野武さん(キャンベル大佐)、銀河万丈さん(リキッド)、田中秀幸さん(オタコン)、塩沢兼人さん(サイボーグ忍者)、鶴ひろみさん(ナオミ)、寺瀬今日子さん(メリル)、堀内賢雄さん(雷電)、杉田智和さん(カズヒラ・ミラー)――ほか。
過去の note 記事の中でも「メタルギア」に触れつつ映画をご紹介しています。もしご興味がありましたら、どうぞ♩
▼ 武器についてのあれこれ
▼ ヘリBGM「ワルキューレの騎行」の元ネタ
▼「メイ・リン」の元ネタ
で、ようやく『ニューヨーク1997』のお話。
○あらすじ(ネタバレなし)
犯罪増加率が400%を突破した近未来のアメリカでは、ニューヨーク・マンハッタン島を高さ15メートルの巨大なコンクリート壁で囲み、島全体を丸ごとアメリカ最大の刑務所とした。
そこには終身刑の重犯罪者たちが集められ、週に1回セントラル・パークに投下される食料の配給以外は、全て囚人らによる自治に委ねられていた。
1997年、大統領専用機がテロリストに乗っ取られ、マンハッタン島内に墜落。大統領は機体から脱出したものの、囚人たちによって拉致されてしまう。大統領を人質に立て、要求を突きつけてくる囚人たち。
警察当局は、大統領救出作戦として、ある人物をマンハッタンへ送り込む。元特殊部隊員で戦争の英雄でありながら、現在は囚人となり、マンハッタンへ収監される予定の「スネーク・プリスキン」だ。
恩赦を条件に提示され嫌々ながら作戦に同意したスネークは、24時間後に爆発する小型爆弾を体内に注入され、グライダーで単身現地へ潜入するが――。
この「あらすじ」を読んだ時点で、MGSをご存じの方ならすぐお気づきになることでしょう。「要人救出」、「元特殊部隊」、「伝説の英雄」、ナノマシンを「体内に注入」、「単身での潜入」――
まんまメタルギア!
なんといっても、主人公の名前が「スネーク」で「プリスキン」!!
MGSファンなら、思わずニヤッとしちゃいますよね。
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本作では、主役の「スネーク・プリスキン」をカート・ラッセルが演じています。
おおお、黒い眼帯!!
ビッグ・ボス!!!
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小島監督は本作『ニューヨーク1997』から並々ならぬ影響を受けたのでしょうね。こちらは冒頭のグライダー降下シーン。
観ていただくとおわかりの通り、メタルギア的なカッコ良さがあります。(いやいや、逆! こちらの映画の方が元ネタです。笑)
当時のハイテクっぽくて、カッコイイ!
こちらのシーン、このような手法で特殊撮影されているそうです。とても興味深い!(リンク先は英語サイトですが、写真だけでも眺めてみて!)
▼ The Glider Navigation Sequence in ‘Escape from New York’, 1981
"Special visual effects" とある通り、この場合は「SFX」も「VFX」も両方使われているのかな。「SFX」と「VFX」についてのマメ知識は、下の記事をご参照ください。
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小島監督は『ニューヨーク1997』のジョン・カーペンター監督をとても尊敬しており、以前、カーペンター監督に手紙を書いて「メタルギアソリッド」を承認してくれるようお願いしたこともあるそう。
Twitter でも、過去にこんなツイートがありました。
「スピルバーグでもキャメロンでもない。僕が最も憧れた映画監督だ。スネークの名前は彼の映画の主人公に重ねた。」
その後、『ニューヨーク1997』の権利を持つ企業 Canal+(カナル・プリュス社/フランスの有料テレビ放送局)が『メタルギアソリッド』を盗作疑惑で訴えようとする動きがあったらしいのですが、他ならぬカーペンター監督自身がそれを阻止したのだとか。
その一方で、カーペンター監督は、『ニューヨーク1997』を一部盗用しているとしてリュック・ベッソン監督の作品『ロックアウト』(2012年)を訴え、裁判に勝訴。
ジョン・カーペンター監督が小島監督を訴えなかった理由は「彼が “いいヤツ” だったから」――と語っています。
「僕は、彼ら(権利会社)にそんなことはやめるように言ったんだよ。あのゲームの監督はナイスガイと知っていたからね。少なくともわたしにとってはナイスなヤツだった」
小島監督のリスペクトする気持ちが、きちんとカーペンター監督に届いていたからなのでしょうね。「敬意を持って接する」って大事ね……と、つくづく思います。ジョン・カーペンター監督について、小島監督は折りにふれ語っていて、ほんとに大好きなんだなぁ、というのが伝わってきます。
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さて、肝心の映画の内容ですが、わたしの当時の感想を振り返ってみると――
映画としては、盛り上がりもなくタラタラと進むので、B級感。
だそうです。笑(こらこら、作品への “敬意” はどうした!?)
ほら。B級でもね、家族や友達といろいろとツッコミ入れながら観るのが楽しい映画ってあるじゃないですか。『ZMフォース ゾンビ虐殺舞台』とか。映画って、思い思いの形で楽しめれば良い訳で。
だから、わたしにとっては『ニューヨーク1997』は「楽しい思い出」の映画です♩
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