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成田山新勝寺の出世稲荷は宇宙への扉?

出世稲荷に危機を救われた院長の話が耳に入る

 昨日、成田山新勝寺の境内にある出世稲荷へ参拝してきました。
成田山新勝寺は平安時代に開山した真言密教のお寺です。歌舞伎の市川團十郎家と縁が深く、屋号の「成田家」はこのお寺からに由来しています。全国的に有名なお寺なので、お正月はもとより、季節の行事があるときは人出が凄まじというイメージがあり、しかも成田はアクセスも良くなかったので、これまでお参りできずにいました。ところが、ひょんなことから、どうしても行きたいと思わせる出来事があったのです。

 実は春の不安定な気候と花粉症のせいか、4月はずっと体調不良が続いていました。歩くと腰に痛みが出るようになり、3年ぶりに近くの接骨院の門を叩いたのです。そこで電気をかけてもらっていると、隣のブースで患者さんと話す院長の声が聞こえてきました。

「この医院を開業して2年くらい、さっぱりお客さんが来なかったんですよ。銀行から融資を受けているのに、やればやるほど赤字が膨らんで、遂にカミさんから『もう無理、閉めて!!』と言われる始末で。それで、最後の足掻きというか、藁をも掴む思いで、人から勧められた成田山の出世稲荷に行ったんです。知らないでしょう? 穴場というか、境内から階段を昇ったところにひっそりと祀られているお稲荷さんなんですよ」

参詣した翌月から3倍のお客が来店して繁盛店に

 その結果、翌月から接骨院はそれまでの3倍のお客が来るようになり、ずっと繁盛しているとか。なので、毎月欠かさずお詣りに行って、参道の下の売店で売っている油揚げと狐の人形、蝋燭をお供えしているのだそうです。

「いやぁ、あれがお稲荷さんじゃなくて、もし新興宗教だったら、絶対に入信してましたよ。新興宗教に入る人の気持ちがわかりました。私の場合、たまたまご縁があったのが出世稲荷だったということです」

 その話を聞いていて、きっとその先生にとって、成田山の出世稲荷は宇宙の源に通じる扉というか、通路のような場所だったに違いないと思ったのです。もちろん、出世稲荷にお詣りしたからといって、誰もがご利益に授かれるわけではないでしょう。たまたま、その先生の気と合う場所、あるいは、前世からの深いご縁がある場所がそこだったのでしょう。

 自分が行ってもご利益がない可能性が高いものの、「3年ぶりの接骨院で、順風満帆に見えた先生からこんな話を聞くってことは、成田山に呼ばれてるってことなんだな」と私は感じたのです。

 というわけで、生まれて初めての成田山新勝寺、そして出世稲荷でした。順番から言えば新勝寺に先にお参りしたのですが、まずは出世稲荷からレポートさせていただきます。

売店え油揚げ、狐の人形、蝋燭を購入

 出世稲荷は境内の隅っこにある階段を昇ったところにあるのですが、その途中に中高年の女性3人がやっている売店があり、油揚げ、手描きの狐の人形2個、蝋燭2本をお皿に入れてセットで販売しています。。先生の話を聞いていたので、迷わずそれを千円で買いました。人形の絵柄は女性たちの手描きだそうです。自分の分身としてお供えするので、人形の顔はよく見て選んだ方が良いそうです

存在を知らなければ目立たない階段です

御本体は倉稲魂神、狐はその神にお仕えする眷属神

 神社の入り口には狐の銅像や、ご本尊の由来が書かれたものもあります。それによれば、江戸時代に新勝寺を篤く信仰していた佐倉城主稲葉丹後守より宝永年中に寄進された尊像が出世稲荷大明神として祀られているそうです。御本体は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)で五穀のみのりと一切の食物を守る施福の神です。つまり稲の精霊が神格化されたもので、狐を神様として祀っているわけではないのです。狐はその神にお仕えする「眷属神」です。お稲荷さんは「出世開運稲荷」と称されて、商売繁昌・開運成就・火伏せのご利益があると伝えられているそうです。

悪戯防止なのか、狐の銅像は金網で保護されています
出世稲荷の由来が書かれています

 鳥居をくぐると、狐の銅像や、鮮やかな紫と紅白の旗が神秘的なゆらめく参道があり、その先に朱色を基調とした煌びやかな本堂があります。

参道は紫と赤と白の旗が揺らめいて神秘的な雰囲気です 

油揚げの上に百円をのせ、本堂に供える

 この本堂で油揚げと狐の人形、蝋燭をお供えし、油揚げの上に百円を置きました。なぜ百円なのかはわかりませんが、他の人がそうしているので、それに倣ったわけです。それから、蝋燭は本堂横で火をつけ灯します。そして、ここが一番大事なのですが、お寺の境内にある神社への参拝は「二礼二拍手一礼」でなく「合掌一礼」でお参りします。ちゃんと説明書きがあるので、間違えることはないと思いますが。

朱色を基調にした本堂。正面に施された彫刻は
出世稲荷の本地仏・荼枳尼天(だきにてん)です
油揚げの上にお賽銭の百円が置かれています

赤い絵馬には名刺を貼ることを推奨されていた

 お堂の先には赤い絵馬の奉納場所もありました。お賽銭が百円では申し訳ないので、千円の絵馬を購入。名刺を貼ることを推奨されてましたが、持参していなかったので、手でお願いを書きました。

名刺が貼られている絵馬が多かったです

 さらに奥には奉納されたたくさんの狐の石像が祀られた「御眷属安置所」や狐の青銅がありました。お稲荷さんの信奉者はたくさんいるようです。各々に寄進した人の名前が刻まれています。

御眷属奉安所には寄進された狐の石像がたくさんありました
狐の青銅には金網が被されておらず、触っていく人が多かったです
私も思わず頭を撫でてしまいました

 出世稲荷は小高い丘の上にあるので、そこから新勝寺の境内が一望です。今の季節や新緑が目の眩しく、ツツジも花盛りでとても綺麗でした。

出世稲荷から見る成田山新勝寺の境内は絶景です

出世稲荷は成田山境内で最強のパワースポット

 私は無類の猫好きで、狐はあまり好きな動物ではありませんでした。なのでお稲荷山は敬遠してきたのですが、訪れてみると不思議と心が和む場所でした。ある人によると、ここは成田山新勝寺境内の中でも、最も強いパワースポットなのだそうです。一般的にお稲荷様というと、狐の執念深い(ごめんなさい)妖気が漂っている場所が多い気がするのですが、成田山の出世稲荷は風が通る感じと言いますが、気の滞りがないのですね。しかも、山の上にあって絶景です!! 

 お稲荷さんを一度でも参拝してお願いごとをすると、一生に亘って足を運ばないと祟られるといった話も聞きますが、この出世稲荷に信奉者が度々足を運ぶのは、気の良さを感じて、自然と足が向くからではないでしょうか。来月からお客様が3倍来なくても、是非再訪したい場所だと思いました。みなさんも、お時間があったら、ぜひ出世稲荷に参拝してみてくださいね。


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