桂吉坊 噺家25周年記念独演会「三都勇劔傳」(@京都芸術劇場 春秋座)を見て来ました!
桂吉坊 噺家25周年記念独演会「三都勇劔傳」(@京都芸術劇場 春秋座)を見て来ました!
朝日新聞の記事に「桂吉坊 明治の講談を落語に」という記事があり、今回の特別講演を知りました。吉坊を最初に観たのはそれこそ20年くらい前ではなかったでしょうか?浅草見番で定期的に桂吉坊独演会をやっていて、毎回のように見に行っていました。ちょうどドラマの「タイガー&ドラゴン」が終わって私の中で落語がマイブームとなっていた時期と重なっていたと思います!毎回言っていたので見番の独演会を主宰されていた放送作家の和田尚久さんとも知り合いになるきっかけがこの独演会でした。(※私が見た桂吉坊の記録は以下でご覧になれます。
和田さんにはその後、落語関連のポッドキャスト&YouTubeにも出演していただいたりしております。(YouTubesチャンネルは、https://www.youtube.com/channel/UCKbi-SA4Nio--LMyXMnNSdw
その吉坊が25周年でたぶん日本でこの人だけがこれをやる3日連続で違う話をかけてやる!という一期一会の独演会!スケジュール見ると、そのすべての時間が空いていたので(笑)、チケットを予約して行きました。啓蟄の日につめたい雨がたくさん降る日でした。京都河原町からバスで約30分。北白川の閑静な場所に京都芸術大学(以前は京都造形芸術大学)があります。久しぶりに行くと、校舎がいくつか周辺に建て増しされていました。どんどんこの場所は京都芸大の街になっていくのでしょうか?
この独演会、桂吉坊が演じるのはもちろんなのですが、原作をアレンジして今回の独演会のために物語の再構成が行われています。その補綴(ほてつ)を行っているのが木ノ下裕一さんです!演劇や歌舞伎などが好きな方は、一度は名前を見たことがあるだろう木ノ下裕一さん、自身も木ノ下歌舞伎の上演を定期的に行っておられすべての作品の補綴を担当されています。この桂吉坊と木ノ下裕一という強力なタッグ!関西に引っ越して来た私が見に行かない理由はありませんでした!木ノ下裕一さんがこの京都造形大出身なのでこの劇場での公演というのも納得です!春秋座はとても素敵な劇場!演劇公演も良く行われています。
雨の中、17時半くらいに京都芸大前のバス停で降り立ち、久しぶりに「天下一品 北白川 総本店」に行きました。注文したのはこってりラーメンネギ多め、麺固め、中太麺で!というもの。昔はネギ多めは無料でしたが今は有料!店員さんが追加料金かかりますけど?と言ってくれはりました。さすが関西!この辺はきっちりせんとですよね。
初日は「船越重右衛門」という講釈(講談)の読み物からの独演でした。前後編に分けて上演、間10分強の休憩が挟んで2時間40分という長丁場!21時23分のバスに間に合うように終演を調整してくれてのでしょうか?とにかくテンポがいい!中入り後に木ノ下裕一さんが登場されて10分ほどこのお話についての説明がありました。原作本をそのまま読んでみたら最初6時間かかったとのこと。これを今回は2時間半弱にまとめていかれました!このそもそもの場所から作業を始めておられる木ノ下裕一さんはほんますごいです!木ノ下歌舞伎と同じ方法で、原作を自分が肚落ちするまで読み込んで、そこから吉坊と対話しつつ、現代の公演に落とし込んでいくという作業が行われています。伝統芸能に対する愛が半端ない木ノ下裕一さんと桂吉坊だから出来たのだと思いました。
これを見て、過去の作品をこうして再構築して私たちの前に提示する作業はとてもクリエイティビティが必要な作業であるのではないか?ということ。クラシックを指揮する指揮者やPOPSのアレンジャーの方、そして歌舞伎を現代に翻案している様々な歌舞伎役者さんたちもまさにものすごいクリエイターと言えるのではないでしょうか?そして今回の桂吉坊と木ノ下裕一さんもまさにそんな感じのクリエイティブな創作を丁寧に行って来た結果がこの日の公演につながっているのではないしょうか?これはもはや二次創作というレベルを完全に超えた新たな創作です!この最構築という作業が果たして生成AIに出来るのでしょうか?
吉坊は2時間半あまりのテキストを読み込み覚え込み、マクラや間の地の声なども適切なタイミングで入れつつものすごくエンターテイメント溢れる活劇風の落語に翻案していったことに驚きます!また、吉坊の発声法がすごい!どこで息継ぎしているんやろか?みたいな感じで次から次へと言葉が発せられその言葉の流れが淀みない!さらには鳴り物が豪華、鐘や太鼓に三味線、そして拍子木と言うのか床を板で鳴らす歌舞伎で出てくるアレ(※「ツケ」というそうです、https://kabuki-note.com/146/ )
などがふんだんに使われています。その演奏に合わせて吉坊が見栄を切り外連味たっぷりに演じる姿はまさに歌舞伎役者!そして、素晴らしい、緩急の付け方間の取り方。噺家は自らが演出家とも言われておりますが、まさにそのようなことを創意工夫しながら完成させたものがこの初日の公演につながっていったのではないでしょうか?まったくだれる所のない2時間半。演者はそれこそ大変やったのではないでしょうか?観る方もある種の集中力が必要ですが、それを上回るくらいの貴重な落語体験ができます。桂吉坊は落語会の中でも伝統芸能全般において、高みを目指そうとされている、まさにお師匠さんの桂米朝の流れを汲む貴重な噺家さんではないでしょうか?落語と言う文化を芸術の域にまで高めようと七転八倒しながら創作をされている姿はまさに芸術家と言えるもの。京都には文化庁も移転して来ましたので、文化庁の職員さんも是非見に行ってもらいたいものです!3月6日は「佐野次郎左衛門」よりが14時~、3月7日は「大丸屋騒動實記」が同じく14時~あります!詳細は
です!
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