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映画「さらば、わが愛/覇王別姫」(中国・香港:1993年作品)を、シネ・リーブル梅田で見て来ました。

映画「さらば、わが愛/覇王別姫」(中国・香港:1993年作品)を、シネ・リーブル梅田で見て来ました。

 

この映画の初公開は1993年。ある人にこれまでに見た映画の中でのベストワンは何ですか?と聞いた時にこの映画のことを誰かが語っておられた記憶がありました。私が30歳の頃に上映されていた映画になります。中国の50年にもわたる物語。中国の激動の1920年から1970年。その時代に翻弄された京劇の役者2名とその周辺の人たちにフォーカスをあてた物語です。原作の小説があるらしく、その原作が圧倒的に素晴らしいのでしょう!心に沁みるシーンがたくさんありました!実は、この映画、私はこの歳までちゃんと見ていなく「初見」です。この歳になって見てわかることもあるのかも知れません。

激動の現代中国史とともに、京劇俳優の義理の兄と弟とのいろんな形の愛にあふれた物語でした。監督のチェン・カイコ―は中国を代表する監督。現在70歳。この映画はちょうど30年前の公開だから監督が40歳の頃の作品です!監督の熱量がフィルムの端々にまで込められています!映像が素晴らしい。当時はデジタル撮影などはなく、フィルムでの撮影で何のVFXも使わずにこうした力強い画が撮影できることの素晴らしさ。そして、日本の東京現像所がフィルム現像にかかわり録音は日活の録音センターでというクレジットを見て、当時の映画業界での日本の技術の高さを信頼してくれていたことを拝見して何だか嬉しくなりました!あの頃は香港や台湾の映画人が日本での現像や録音を良くやっていたように記憶しています。専門的な頭脳や情報、テクノロジー流出のリスクが・・・!と言って、中国との貿易に制限が始まり、きな臭いことになっていますが、優れた技術を共有してさらなる世界の高みにみんなで突き進んでいくということは、出来ないものなのでしょうか?世界中の技術と知を結集させて新たな創造をする、あるいは、課題を解決する、そうしないと地球全体の問題が納まらない。もう今はそんな時代と違うんでしょうか?

御堂筋線の「梅田駅」を降りて西へ、ヨドバシカメラを突っ切ってさらに西へ向かいます。まだ整備途中の北梅田。工事中の場所がたくさんあります。グランフロント(最近、この名前ようやく覚えました)を突き抜けさらに西へ、大きな高層のタワーが見えて来ます。梅田スカイビルという天空に丸い穴が開いたような造りの高層建築。

このビルのタワーイーストの3階と4階にこの「シネ・リーブル梅田」という映画館があります!先日行った、京都の烏丸御池の映画館「アップリンク京都」にも似たアート系シアターというのでしょうか?置かれているフリーペーパーや映画のチラシがとてもいい!そして、こうした劇場に足を運ばれる方がたに特有の独特の雰囲気があって気持ちが癒されます。芸術を愛する人たちが集う場所?以前はアートシアターというと、小難しくて、むさくるしいという感じがありましたが、今ではもうお洒落なアートスペースとなっていました。

関西にはこのような映画館や劇場、そして美術館がどれくらいあるのでしょうか?新たな場所に行くのも楽しみです!

本作はまさに「芸術」を愛する監督と俳優たち、そしてスタッフが総力を挙げて製作しただろうことを感じさせてくれる映画でした。しかもあの時期に同性愛的なテーマなども取りあげています。また、1966年から始まる「文化大革命」も取り上げられており、その時代に中国は文化芸術に対して大変なことをしてしまったということが本作を見ると強烈なメッセージとして伝わって来ます。レスリー・チャンやコン・リーといった素晴らしい俳優たちがそれをさらに良いものにしてくれています。まさに一期一会のような映画。

本作が4Kレストアされて再上映するということにとても価値を感じました!そして平日の昼間の上映なのに50%以上の老若男女の観客がこの作品を見ているということの事実にも同時に感動しました!

上映時間、休憩なしの172分!傑作です!

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