アパレルデザイナーの種類❶所属
今回は気分を変えて「アパレルデザイナーになるため」のネタを、実体験を交えて書こうと思います。
私は中学生の時からずーーーっとデザイナーになりたくて仕方なかったので、晴れてデザイナーに就職が決まった時は本当にうれしかったです。
ところがいざアパレル業界に足を踏み入れてみると、理想と現実のギャップにかなり苦しめられました。
一番辛かったっことは、
服飾の学校で習ったことがほとんど活かされなかったこと。あんなに勉強頑張ったのに!涙。
やりがいも感じられず、そもそも仕事もろくにできない。本当に超落ちこぼれな新人だったと思います笑。
こういった自分のしんどい新人時代から得た経験を活かして
新人でも出来る限り早く戦力になれる人が増えれば、という思いから、
デザイナーの卵さん&アパレル業界を志す人向けに、役に立つ記事を書き続けております。
今日は「アパレルデザイナーの種類(所属)」というテーマです。
「所属」という言葉が適切か分かりませんが。
どんなところに所属しているデザイナーがいるのか分類してみました(上図)。
正直、私は社会人になるまで❹のデザイナーしか存在しないと思っていました。
❶もなんとなくわかりますが、❶=❹だと思っていました。
ファッション業界とは、1人のデザイナーが舵を切り、作りたいものを全部デザインし、ディレクションしていく世界だと思っていました。
が、いろんな属性のデザイナーがいて、そもそも❹なんてほとんどいないことに後々気が付きました笑。
では順に詳しくご説明いたします。
※私が経験してきたことをもとにお話するので、ベテランの方から見ると違っている箇所があるかと思いますがご了承ください!
❶ブランドに所属するデザイナー
ZOZOに出ているブランド、ショッピングセンターに入っているブランド、路面店のこぢんまちしたブランドetc・・・
様々なブランドが存在しますが、その1ブランドの中に所属しているデザイナーさんのことです。
(ブランドにデザイナーがいるのが当然かと思われるかも知れませんが、実はデザイナーがいないブランドも存在します。このお話はいつかまた。)
ブランドに所属するデザイナーさんは、複数名いる場合が多いです。
私が新人でデザイナーになったときはこの❶のデザイナーとして入社し、所属したブランドには5名もデザイナーさんがいました。グッズやキッズも含めるとトータル10名でした。
当時、1人のデザイナーの世界観を表現しているものがブランドだ、という固定概念が私にはあったため、こんなに大人数のデザイナーさんがいることにとても驚きました。
❶の場合は、ディレクターやMD(マーチャンダイザ―)や営業さんも同じブランドにいて、その人から指示を受けるor一緒に方針を決めたうえでデザインをする、という形が多いかと思います。
好き放題デザインできると思っていたうえ、コミュニケーション能力の低い当時の自分にとっては苦行の毎日でした笑。
ただ、❶で学んだこと・よかったことは非常に大きかったです。
◆色々なポジションの人が色々なことを教えてこれること
◆ベテランの人の仕事が見れること、そして教えてもらえること
◆たくさんの人と知り合えること
◆展示会があったこと
◆パタンナーさんと一緒に仕事ができたこと
◆社内セールがあったこと
◆自分のデザインを着ている人を街で見かける
◆店舗があったので店員さんとの関わりを持てた、お客さんの様子が見れた
大手だったので今ではできない体験がたくさんありました。
でも、もう2度と戻れないと思います。貴重な新人時代です。
次行きます。
❷メーカーや商社に所属するデザイナー
こちらのほうが❶よりも自分の作りたいものができる機会が多いかも知れません。
お客様に提案するサンプル(またはMAP)を作る、というのが主な仕事です。
ここでいうお客様とは、先ほどの❶のブランドさんです。
ブランドさんに「こんな服作りませんか?」というデザインを提案するのです。
自分はこの❷のデザイナーの存在を学生時代知りませんでした。❶か❹しか存在しないと思っていました。
私は2社目でこの❷(メーカー)で働きましたが、こちらの仕事の方が楽しかったです。
しんどい❶での新人時代を経てからの❷だからだったかもしれませんが・・・。
❶よりは業務的に泥臭さがあるかも知れませんが、デザイン提案の時点では自由度が高いと感じます。お客様に採用されればそのあとはお客様の指示通りに進めることになりますが、「自分のデザインが世に出る」という点では❶も❷も同じです。とてもやりがいがあります。
私が入ったメーカーはとくに小さく、数年勤めましたが常に社員は2〜4名のみ。
コミュ障の私には、人間関係のもめごとは少なく過ごしやすい環境でした。
すごくいい職場でしたが、「もっと成長したい!」と思った時期があって、生意気にも仕事に物足りなさを感じてしまい辞めてしまいました。
今思えば、もっともっと新しい仕事をさせてほしいと社長に頼めばよかったんですが。こうと決めたら一直線の自分は「転職する」と決めてしまったため、後ろ髪引かれることもなく去ってしまいました。。。
❷で勤めてよかったところは
◆自分の「やりたい」をまずは形に(サンプル)してみることができた
◆社長の仕事の様子を間近で見れた
◆人数が少なく過度な緊張感がなくのびのびできた
◆意見も言いやすい環境だった
◆展示会ができた
◆自由度が高かった
ただし、上記は私の勤めた会社の場合です。商社さんやもっと大きいメーカーだったらまた全然違うと思います。
❷の仕事に就くため、いくつかのメーカーの面接を受けてみましたが、展示会前は終電まで働く・・というところが多かったです。(もう10年以上昔の話なのではありますが。)
実際、私も終電まで働いた日が月に1回ほどありましたが、展示会を成功させるという気持ちがあったのでそんなに辛くなかったです。
そしてどうせ飲み歩いて終電になる日もあったし、それと同じです笑。
❸フリーランスのデザイナー
今、私はコレです。
他のフリーランスの方がどんなことをされているのかわからないのですが、
私の場合は、アパレル事業においては仕様書作成がメインです。
その他は、ロゴ・ブランドタグ・下げ札・ネームの作成、カラーシュミレーション、サンプルチェックなど、なんでも屋状態で色々やっています。週1回は商談や打ち合わせに出向きます。
仕様書作成の仕事とは
他社から決まったデザイン(写真)が来て仕様書を作成する形なので、自分の「やりたい服をデザインする」という事はあまり無いです。
お客様の「やりたい」を適格に形にすることが重要です。
それはそれで、お客様の要望をしっかりくみとるセンスが試されます。
MAP作成(シーズンごとにイメージ写真をMAPとしてまとめる)の案件も同様で、自分が良い・可愛いと思う写真を選ぶのではなく、お客様視点で選ばなければなりません。
たまに自分のアイデアをちょっと提案するのはアリです。
ただ、余計なことをせず、依頼された仕事を適格に期限内に納品するのが大前提であり、
それを安定的に長期継続することが一番大事かなと個人的には思います。
アパレル事業以外にもグラフィックやグッズのデザイン、イラスト、ハンドメイドもやっています。同様に他のフリーランスの方も、アパレル以外にも何か色々手掛けている人はいらっしゃると思います。
自分がやろうと思えば何でもやっちゃってOKなのがフリーランスです。
また、業務委託としてブランドや商社・メーカーに所属する人もかなり多いと思います。業務委託として採用してもらえれば❶や❷のデザイナーとして働けます。
私もメーカーさんの業務委託としてやっていますが、半分サラリーマンみたいなものなので、安定して報酬が頂けるのでありがたいです。
フリーランスになってよかったことは
◆勤務時間が自由
◆子供が体調不良でも、在宅で看病しながら働ける・誰かに頭を下げなくなくてもいい(但し仕事のしわ寄せはきます)
◆目標に向かって自分で全てコントロールできる
◆やりたくない仕事を断ることができる
◆昼休みに昼寝やジョギングができる(笑)
◆とにかくやりがいがある
私は20代、仕事がずっと嫌いでした。30代になってやっと楽しいと思えることも増え、今フリーランスになって仕事がとても大好きになりました。
仕事を楽く感じられるかどうかは「自分がコントロールできる部分がどれくらいあるか」が重要だと聞いたことがあります。その意味がフリーランスになってすごく腑に落ちました。
イヤなことがあっても、失敗しても、仕事量が多くても、フリーランスはとても楽しい🤸。もう会社員には戻れません笑
今は、ココナラやクラウドワークスからいくらでも新規の仕事を手に入れる環境があります。
独立当初は不安でしたし、価格交渉とかもう怖くて仕方なかったですが、結局今もなんとかなってます。
最悪仕事がなくなってもバイトしながらでもやればいいかなと思っています笑。
でも、今後とも頑張ります。
❹自分のブランドを持つデザイナー
こちらは、自分でブランドを立ち上げる、自分が看板になってブランドを運営する、というデザイナーとして分類しました。
❶のデビュー形態はこれの場合が多いのではないでしょうか。
中学生のころから私はここを目指してましたが、いざ大人になってみて器の小さい私には無理ということに気が付きました笑。
コレクションブランドさんは自分の名前をブランド名にしています。
また、ブランドを立ち上げる場合は、最初はデザイナー自分で営業・生産・販売までやるまたは指示することが多いのではないでしょうか。
もちろん複数名でブランドスタートする場合もあると思いますが、おそらく最初は超少人数でしょう。
❹については、私はちょっとかじっている程度です。
せっかくなので少し書きますね。
私はテニスが大好きで、テニスウェアを作っています。
グラフィックを作って、量産されているTシャツにプリントして、それを知り合いに宣伝しオーダーを集めて生産しています。
半年に1〜3型だけの超小規模な展開なのですが、
ブランドを大きくしたいというよりも、知り合い同士でお揃いウェアを着たい!という気持ちで楽しくやっているので、❹にはなり切れていないかも知れませんね。
細く長くでいいので、みんなの意見も取り入れながら楽しく続けられたらなと思っています。
❹のなるためには、「個性的でとんがった感性でなくては・・・!」と思っていましたが、
最近のアパレルは全然そんな感じではないようです。むしろアパレル出身ではない人もかなり多数いると思います。
ネットが普及し、便利なプラットフォームが多くなり、だれでもブランドを立ち上げることが出来る時代になりました。
熱意と継続力があれば誰でもできるんだと思います。
自分も頑張ってすごく小さい❹を継続します笑!
❺ハンドメイドのデザイナー
その名の通り、ハンドメイドで服を作り、自分で売るという形でのデザイナーです。
近年アプリからも簡単にハンドメイドのものが出品できるようになりました。
このデザイナーになるのは❶~❺のなかでは最も簡単だと思います。
(ただし、続けるのは簡単ではないと思います)
スタートが小規模でOKなのでとても始めやすいです。
ハンドメイドデザイナーを始めるのに必要なものは
●ある程度広い場所(作業場)
●作業台
●撮影できる場所(家の中の明るいところ)
●ミシン
●その他道具や材料
●アイロン
●スマホ
●服をつくる技術
これさえあればできます。
一人で完結できるので人脈もいらないです。
集客も、アプリ上にすでにハンドメイド好きのお客さんが集まっているので大丈夫。
あとは継続する力です。
私はminneやcreemaで少量出品しています。
育休中は毎日頑張って作っていましたが、今は時々オーダーを受けてやっています。副業の一部です。
ハンドメイドは1着の作成にそれなりの時間がかかるため、この仕事1本で生きていくには覚悟がいるなと思います。
私はついつい他のこともやりたくなっちゃうので、これ1本では難しそうです笑。
おそらく、売れているデザイナーさんの場合は、縫い子さんを付けている方もいらっしゃると思います。
以前、ハンドメイドのデザイナーさんから仕様書作成の依頼を受けることがありました。
縫い子さんに依頼して縫ってもらっているようです。
そこまでできる人はきっと売れている人です。
ハンドメイドが大好きで、縫うのが得意で、自分である程度営業もできるという人には向いていると思います。
ハンドメイドは稼ぎづらいというイメージがありますが、ファンやリピーターさんが付いたら、毎回のように買ってくれると思います。
私がデザイナーになりたいと思ったきっかけは、洋服を縫う楽しさを知ったことでした。
なので、私もハンドメイドは大好きです。
今はハンドメイドはほどほどにして、60歳ころからまた専念する予定です。(遅いか・・?)
今は、今の仕事がとても楽しいので!
一応、少量ですが出品もしているのでよかったら見てください。
リンク→creema
minne
非常に長くなりました。
自分の経験をもとにしたので、ここに書いたことが100%合っているわけではないと思います。
ですが、デザイナーを志す人にとって少しでも生の情報として受け取ってもらえたら幸いです。
ハルハルデザイン事務所は外注さんまたはアシスタント募集をしています!
興味のある方は是非ご連絡ください。
では!