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「新連載」を考えていたら、「書く」ことについて書いていた
ヨガ哲学のシリーズを書き終えて、次は何を書こうかぼんやりしたまま1月が終わりそうである。何かアウトプットしたい欲求というか、書くことで頭の中・こころの中を整理したい気持ちがぐるぐる回っているのだけど、さて、何を書きたいのかというコンテンツの部分が定まらない。
「書く」という行為そのものはこどもの頃からかなり好きで、たとえば国語の授業で好きなだけ作文していいと言われたら際限なく書き続けるようなこどもだった。脈絡とか起承転結とか、あるいは論理的整合性とか新規性とか、もっと言えば「おもしろい文章」かどうかとかはさておき、とにかく量を書くのが得意。内容は1ミリも覚えてないけど、たぶん、エッセイというよりはストーリー、物語を書いていたんじゃないかなぁ。高校受験のために小論文を知って、高校生から専門学校生の頃はいわゆる小説とか戯曲とかを書いた時期があって、大学に入って英語のessayを書くようになった。これが私の文章を大きく変えた気がする。
日本語でいう「エッセイ」は「随筆」「随想」の意味でつかわれることが多いと思う。思ったことや感じたことを思いのまま、徒然なるままに形式にとらわれず文章にする。これはこれで大好きなジャンルで、古くは枕草子だし、自分が書いているこのnoteだってジャンルは「エッセイ」だと思う。ひとが何をどう考え、どう感じ、どう言葉にするのかに興味がある。
英語で言う「essay」はちょっと趣が違う。まず、構造が決まっている。introductionがあってbodyが3つくらいあって最後にconclusionが来る。introductionには必ずThesis statementがあって、それを裏付けるbodyがあって、最後にconclusionでThesis statementの言い換えが来る。最初の段落で自分の意見を述べて、真ん中にその理由を3つくらいの段落で書いて、最後に「だから最初に言ったとおりこうなんだ」っていう仕組みで、非常に明快で説得力があり、構造を意識するだけでいわゆる「論理的」文章が書きやすい。
日本語の小論文でも序論・本論・結論の流れは勉強していたけれど、そこまで意識しなくても「なんとなく」文章が書けた。書くこと自体は元々苦にならないタチだったし、特に個人的な文章を書くことにおいてはそれこそ徒然なるままに思いのままに、書きたいことがつらつら指先から出てくるような感覚で書くことができる。けれど母語ではない英語はそこまで自在にあやつれない。なにかお題を提示されて、それについて構造に則ってアウトラインを定めて書く、という訓練があって初めて、意味の通るessay、まとまった量の文章を書くことに到達した。
で、これがどう日本語も含めた私の文章に影響したのか、という話である。最近、仕事で久々に公演企画以外の企画提案書を書こう、と思いたって、まず最初に構造から考えている自分がいた。しかもその骨組みが完全に英語essayのそれだったのである。説得力があって論理的整合性のとれた文章を書こうとなると、私の頭はこの仕組みを採用するようになったらしい。
ここで書いたヨガ関連の連載も、うっすら同じ構造を感じさせる。イントロで今日のテーマを書いて、それに関連する自分の話を2、3個書いて、最後にだからどうなんだ、と書いている。「ヨガ哲学の定義」のパラグラフは大きくまとめるとイントロの続きであって、ここにThesis statementというほど明確ではないにしても、なんらかの仮説っぽいことが含まれている。書き進みにくいときなんか、この骨組みに沿って思い浮かんだことを書き出してつなげたりしていた。つまり、私の文章の書き方は、いつの間にかessayとエッセイのハイブリッドになっていて、それってもっと言えば、思考回路、物事を考える順序、手順にも大学の学びが影響し続けている、ということなのでは。
ちなみに今日のこの文章は日本型のエッセイ、つまり随筆寄りの書き方で書き綴っているつもりなのだけど、なんだかこれすらちょっと構造的にはessayに寄っている気がしてきた。書き始めたときは「また文章を書きたいなぁ」「どうせならなにかテーマを持って連載にしたいなぁ」「書く習慣があると思考も整理されるしこころも穏やかになるしいいよねぇ」みたいなことを書いて、最終的には連載のコンテンツにたどり着こうと思っていた。はずなのだが。「英語essayの構造」が私の文章を変えた、という仮説についてひも解く小論文に近づいてきている気がする(笑)
結局、何について書きたいかまとまらなかったなぁぁ。最近の興味関心は広く言うと「ハラスメント」なのだけど、ちょっと今、自分自身がおもしろい経験の真っただ中にある自覚があり、あまりにもタイムリー過ぎて俯瞰で書けない気持ちもある。こういうときこそとにかく書いて整理するのか、ちょっと冷めるのを待って距離を置いて書いた方がいいのか迷っているというか。
なんにせよ、月に1本くらいは何かしらの記事をアップしたいなーとは思う1月25日です。