京都国立博物館
巷で噂になっていた国宝展。テーマパークみたいな列。老若男女、幅広い来館者。「国宝」ブランドの威力たるや。
建物自体もなかなかよくできていて、一目で「ここには、すごいものが、じゅうぶんな管理のもとで、取り扱われているんだな」ということが理解できる場所。
個人的には、一階の立像が暗い照明に浮かび上がる感じが好き。お寺で観るのと違って、ありがたい気持ちがありながらも、中立的なこころで像の美しさを「観察」して自分の中に留めておける空間が成立しているように思えるから。
それと今回の展覧会でぐっときたのは、尾形光琳の燕子花図屏風とその隣に展示されていた円山応挙の雪松図屏風。近くで観るのと、少し離れて観るのとで全然印象が違う。まじまじと観ると、力強さを感じるのに、距離を置いて全体的に観ると繊細で立体的になるという、実際に目の前にしてみないと体感できない不思議体験。これが、天才の技量なのだな。
それにしてもこの混雑。私は日本史も、美術史も全然詳しくないけれど、ここは「国宝展」でなくても、なかなか素晴らしい収蔵品に満ち満ちていると思うので、普段から皆様が足を運んでいただけるとうれしいなあ。審美眼て、やっぱり美しいものを見続けることでしか、養われないと思うのです。