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松本民芸館
市街地から少し離れた、温泉街の入口の手前。
ひっそり、でも、ずっしり彼はそこにいた(なんとなく男性のイメージ。)
門をくぐって、みちっとでも風通しのよさそうなお庭を抜けて、
がらがらと引き戸を開ける。
スリッパに履き替えて、受付のおじさんに観覧料を払う。
チケットには創館者、丸山太郎の言葉
「美しいものが 美しい」
ことばのとおりにうつくしい、艶のある床、曇りのないガラス。
それらは決して新しいからぴかぴかしているのではなくて、
まいにち何年もだれかにみがき続けられたから
そうなったのだという佇まい。
きっと、愛情をかけられているからさらに美しく見えるのだ。
二階に上がって、外が見えるベンチに座る。
まわりには今風の家々。さらに先に視線を向けると山々が連なる。
曇り空で、もやっとして遠くまでは見えなかったけど、
漂う雲を見ながら、山のこととか、冬の景色のこととか考える。
初めてきたまちの、季節のことを考える。
ゆったりと、館内をまわる。家具、うつわ、瓶、民族衣装、看板、花器。
ばらばらに見えるのに、すべてひとつの空間におさまっている。
いろいろな国や地方から集められたものなのに、
ずっとずっとここにいるみたいに。