薬を飲み忘れた時の思考

 健常になりたいって思いながらも、健常に近づくと怖くなる。こんなにつらいのに、あなたは健常だと言われたらたまったものではない。病んでると思われてるほうがずっといい。健常なのに、人とコミュニケーションが取れなくて、仕事もうまくいかなくて、すぐ欠勤して、掃除ができなくて、料理ができなくて、生活がぐちゃぐちゃな人間になるのが怖い。怒られるし、責められる。病んでいることで許されていたい。だから死にたくなるとちょっと安心する。まだ病人でいていいんだって思う。

 私は私でいることが恥ずかしい。だからこれは普通じゃないんですよという言い訳が欲しいのだ。その言い訳さえあればみんなが私に優しくしてくれる。体調が悪いと言えば、病院の予約時間に遅刻しても許される。ずっとぬるま湯に浸かっていたい。

 私が本当に健常な普通の人だったら、それは私とは別人だと思うけど、もしそうだったらって思っちゃう。でもそんなこと考えてもどうしようもなくて、どうやったらそんな普通な自分になれるかって考えると不穏な妄想が止まらなくて、強制的に思考を停止させる。

 メンタルが落ちている一時の衝動でこの記事を書いている。薬の飲み忘れで落ち込んでいる時の思考と、薬を飲んで落ち着いている時の思考、どっちが本当の私の思考なんだろう。よくわからなくなってくる。だから薬なんて飲みたくなかったんだ。薬も手帳も全部捨てて、もう病院にも行かないで、そうすればゼロに戻るのか。全部捨てて終わりにして、シンプルに素になりたい。もはや人間じゃなくなりたい。ただの光になって、点いたり消えたりしたい。

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