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療育花育の記録 ともくん#12

ともくんは、平成25年生まれ。障害名はついていません。いわゆるグレーゾーン。普通学級に通い、勉強も頑張りました。障害クラスにも入りました。
いきものが好きで、カマキリを飼ったり、抜け殻を収集したり、遺跡を掘りに行くのが好き。いろんないきものにとても興味があり、調べるのも得意。おともだちからは、いきもの博士と呼ばれることも。

ともくん 20240527 「ともくん極める」



終了後の経過について 親御さんから

前日「明日は少しの花でするから。」と言っていました。
私が家に帰ったら、庭で花を二本とってきていました。
すでに小さい小瓶に花二輪生けていたので「まだ生けないよ。」と言って花瓶から花を抜いて花を生ける準備をしました。
水切り用のボール、新聞紙、自分で用意できました。「来月はお店に行って買うからね。」と言っていました。

始まる前に自分の部屋からいろいろ持って来て、先に飾っていました。
15分前にズームに自分でつないで、椅子に座って待つことができていましたが待てなくなってテレビを見始めました。
こんなに準備万端にしたのは初めてでびっくりしました。

教室が始まって、先生が「ともくん、元気?」と聞いてくださると「元気。」と答えていました。
そして「先月より元気そうだね。」と続き、「よろしくお願いします。」とあいさつを言ってくださいましたが、とも君は言わないので「あいさつは?」ともう一度言ってくださると「よろしくお願いします。」と言えました。

「どんなお花?」と聞いてくださると、「こんなん。」と見せると、「かわいいね。」と言ってくださいました。

今日は飾りたいものを先に飾っていたので、先生も「もう飾ってあるの?」と聞いてくださると「うん。準備万端」
と答えて、その後、一瞬の間にお花を生けて飾って、
先生にクラゲのおもちゃを持ってアピールしていました。

その後先生との会話が続きました。「どうやって選んだの?」「見た目。」「たくさん咲いてたの?」「たくさん。」
「どうして一輪にしたの?」「分からない。たくさんとったらなくなるから。」
「器どうしたの?どこから選んで来たの?」「どこか。」
「とも君探したの?お母さん持ってた?」には答えず、おもちゃのクラゲを見せながら「クラゲシリーズがあるよ。
手作りポケモンもあるよ。」と、
とも君ワールドにどんどん入っていきました。

飾っているものを次々と画面越しに持っていって、それを見ながら先生が聞いてくださって、「青いの何?生き物?」「アリ」「アリ?」「青いのエサ?」「うん。」アリの巣(アリの巣観察キット)を見せると先生は興味津々に見てくださっていました。「白い服誰?」「コナンの怪盗キットだよ。」「毎日学校行ってる?」「「行ってる。」

「給食食べた?」「食べた。」「給食何だったの?」答えられず。「食べたら忘れちゃった?」なぜかのりを食べ出したのでした。
急に突発的に全然違うことをしだすのでびっくりです。

「6月は出張でお休みです。自分で作って写真送ってくれてもいいよ。」と言ってくださいましたが、答えず、のりをボリボリ食べて注意してもやめず困りました。そんなとも君でしたが、「上手に素敵にできたよ。」「自分で考えてできたのですごいと思います。」とほめてもらえました。


先生が「どうもありがとう。」と言ってくださると「ありがとうございました。」とあいさつすることができたのでびっくりしました。
「お片付けして終わりにしましょう」と言われると、スピーディーに水を捨てに行って片づけをして、隣のおばあちゃんちにさっさと行ってしまいました。
準備と片づけがスムーズにできたのですごいなあという気持ちと、
早くやって早く終わりたいからだよなあという気持ちがどっちもあって複雑な気持ちでした。


その後ですが、6月「お花生ける?」と聞いてみましたが「生けない。」というので生けることはなく、7月に入って聞いてみましたが「生けない。」というので生けていません。

今まで生けたお花がドライフラワーになっているのですが、それもずっと飾っていて、一回「どうするの?」と聞くと「さよならしようかな。」と言ったのですが、未だに飾ったままです。

6月にはお花の鉢植えを手伝ってくれました。今日、庭に咲いているバラの花の茎がまっすぐに伸びているのを見て、「まっすぐですごいね。」と何度も言っていました。


終了後、いつもお話をする時間をとってもらっているのですが、
先生は、「とも君はスピーディーにどうしたら終われるかが頭にあって、
準備万端にして始めておけば早く終われると、分かってきたってことで予測がつきだしたということ。
〇〇したら終われる。終わったら自分の時間作れる。準備ができるようになったということ。
4回目くらいからその傾向はあって、今日極めた!完成形です。」
と言ってくださいました。

早く終わらせたいとも君を私からしたらマイナス面に映ることも、
先生からするとプラスの発想になるのがやっぱりすごいなあと思いましたし、
こういう視点があることで子どものことを受け入れていくことができます。


今回始まる前に生けるということがあり、まただよとやめさせたのですが、そのことに関しては、
始まる前に生けても良いけど最初に「美しく生けて」ということを言ってから生けるように。
美しくだったら先に生けても良いということを伝えるように
と言ってくださいました。
美しく生けるということを意識していくことを教えていただきました。

親の言葉がけ一つで違ってくるというのはこういうことなんだろうなと思いました。

「先月は、すごい緊張と脱力感がすごかったけど、今日は元気だった。
とも君はいくら疲れてても、休みたい、やめたいと言わない、続けていることが本当にすごい。
お母さんも一緒だからかな。でも基本好きなんだろうね。」

一年前とは激変している。前は何度も何度も言ってやってたけど、
今はずいぶん変わってきて、こうするんだという意思ができてきて、
自主的になってきた。
お母さんではなくて、自分が主体になってきてすごいなと思う。」

と言ってくださったのですが、
確かにそうだなあ。
とも君は嫌だと言いつつやるところ、続けるとこが良いところだと思えたし、続けることでの成果と成長があるんだということを、
今回確信できたと思いました。
また、お母さんと一緒だからというより、とも君は先生と会いたい、話したいんじゃないかなと思います。

今は引き出す段階ではなく、ここ三回くらい自主的になってきたから、
自分でどこまで伸びるか様子を見ている、
極端に伸びているから見守っているとのことでした。
「取り組む練習だから。やる気がないように見えるけど、すごく伸びている。内面成長がある。行動の様子、どういう意識か様子を見ている。今は見守っている。いかにどうしたら早く終われるかを考えているところがすごい。」と言ってくださいました。

先生はとも君の観察力が本当にすごいと思います。

とも君とも回を重ねていくごとに信頼関係もできていっているように思います。すごいことだと思います。
毎回、本当に根気強く付き合っていただいて本当にありがとうございます。


        

写真記録


準備万端で余裕



思考と想像していたことが、現実化したので満足気


既にあとは花をいけるだけに準備していた


前回を踏まえた検証と考察


引き続き、次への刺激は控え、待つことに徹してみる。

今は、内面的に伸びている時期なので、そのままそっと観察した。

印象記録

前回よりも学校に慣れてきたのか、すこし心が落ち着いていた。
精神疲労が少なくなったためか、のびのびいつものような雰囲気に戻りつつあった。


現場から

ともくんは花を1度も休んだことが無く、それだけでもすごいな、と思っている。

数回前から、新学期にかけてお疲れモードが多かったため、今回も庭の花で自分が美しいなと感じた花を2輪配置用意していた。

聞くと、
時間になる前に、花といっしょに作品にする飾り物も厳選。器も選び、飾るものたちと配置。
そのまま花もいけようとしていたところを、お母さまが「始まってからだよ」と制止したほどだったとのこと。

結局、その2輪を花瓶に入れて、すぐ完成し、
自己表現を説明してくれて、
ゴミも出ないので、あっという間に花の延命措置用の水切りボールも片付け、いっしょにご挨拶をして終了した。

すごいアイデアと進化。

はやく寝たい、早く遊びたい、次のことをしたい、等々、ともくんの中で、アイデアや創造力が毎回むくむくむくむくどんどん膨らみ、

どうやったら短時間で終了できるかを極めだしている。

回数を重ねる毎に、手早くスピーディー、そして綺麗に。
ともくんの内面は今工夫やアイデアでいっぱいで、ぐんぐん育っていっているので、
どこまで極めるのか、観察してみよう。

お母様には、事前にいけても勿論ダメではなく、よいので、
その場合、
「美しくいけるのなら、先に完成させてもいいですよ、とともくんにはお伝えください。とお願いしておいた。

今のところ、美しさは増したまま、それを極めているので、
美意識はこのまま維持したい。

準備もなにもかもスピーディーではあるが、質が落ち、雑にならないよう観察。


これは昨年度のデータ。


2のグラフは近年減少しているのに、1は右肩上がりというのは、何とも言えない気持ちになる。

このような現実の環境の中で暮らしている私たちは、
大人も子供も関係なく、
たった一人でも、ほんの一部分であっても、
心をひらいて信頼し合える人がいてくれたなら、幸せとも言えるのではないだろうか、とグラフから思えてくる。



次回考察

次回は授業がお休みのため、2か月後。
このままいくのか、新たな興味がわくのか要観察。

―to be continued


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花育研究家 森直子
2003年から一万人以上の方に花育をしました。現場でどんな風に、どうしたか、結果どうか等、遺さないまま頭の中にあり、書きのこして、いつか誰かの役にたったらいいな、と思い書き始めました。サポート励みになります。活動費として使わせていただきます。よろしくお願いいたします。