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尾瀬道の 案内来る 赤とんぼ

2017年9月

私は先日家族と尾瀬に行ってきた。

早朝に自宅を出発し、天気は雨模様であった。

私はこの天候への不安はあったが、尾瀬に広がる壮大な景色への期待もあり、この相反する感情に踊らされながらハンドルを握ったのである。

しかし、沼田インターを降りた頃、太陽の日が雲の隙間から差し込み、私の不安は静かに消えていった。
そして、私のハンドルさばきにも何だかリズムが生まれてきたのを感じたのである。

尾瀬道の出発地点である鳩待峠に到着。
私たちは車を降り、勢いそのままに湿原へと延びる林道へ入っていった。

母「はるちゃん、何分ぐらい歩けば湿原に着く?」
私「ん〜20分ぐらいかな〜。」

・・・しかし、歩けど歩けど、その先の湿原へは中々たどり着かなかったのである。

母「はるちゃん、もう20分以上歩いてるよね〜・・まだなの〜?」
私「あれ〜?おかしいな〜もうちょっとだと思うんだけどな〜。」
私「よし、ここで一枚写真撮っとくか!」

・・・はい、パシャ!
(母、樹木に寄りかかりポージング。)

私は、既に疲れを感じている母の気を紛らわしながら歩を進めたのである。

一時間以上林道を歩いた後に湿原の玄関口である山ノ鼻に到着。

ここから先は緑の湿原に、遥か遠くの青い山、そして白い雲の 群れが微かに形を変えながら遠くの山の奥へと消えていく。

私は歩を進めながら尾瀬の空気を感じたのである。

目の前には赤とんぼがぐるぐると飛び回り、待に待った秋の到来を教えてくれている様であった。

私は嬉しかった。
嬉しくて嬉しくて夢中でとんぼの姿を目で追ったのである。

ふと、我に帰り、周りを見渡すと家族の姿が消えていた。

私は彼らに置いていかれた寂しさに、一瞬浸ったが、それ以上に秋の気配を感じらてた事に胸が満たされていた。

そして、進める歩にリズムを感じながら先に行ってしまった家族を追いかけたのである。

よし、今年も秋がやて来た!

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