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タイトルに「雨」が入る曲を集めていたら梅雨が終わってしまった件〈後半〉 【7】


タイトルに「雨」が入る曲(厳密には「雨」「傘」「rain」「umbrella」の4つ)を集めたら、何もかもが好きすぎた。後半です。曲を並べて満足していたら、いつの間にか梅雨が終わってしまいました。プレイリスト連載、1ヶ月も空けちゃった。再開!

🔻前半はこちら。

気分だけでも雨降らせて、潤っていこう。しとしと。


6.『雨と僕の話』 back number

「僕」は恋の終わりを理解している。理解しているのに何度も何度も言い聞かすように〈終わったのさ〉と繰り返されるサビから、現実を受け止めたくない心のもがきが見てとれる。土砂降りの中ずぶ濡れになって俯いているようなイメージ。

サビで思いきり力を込める感じ、失恋後にカラオケでぼろぼろに酔って熱唱したらすっきりするかも。たぶん同時に号泣するだろうけど。

どうして ああ どうしてだろう
もとから形を持たないのに
ああ 心が ああ 繋がりが 壊れるのは

back numberといえば、私の中学時代の二大アーティストである。もう一人は西野カナ。上に引用したCメロ、ザ! バックナンバ〜〜!! って感じ。〈形を持たない〉のに〈壊れる〉と言うのは〈どうして〉?

back numberの曲にはこういう、言葉の意味に立ち返るようなフレーズが多いなと思う。言葉遊び?とは少し違うかもしれないけど、語彙をひねるように、違った視点から見ている印象。『ネタンデルタール人』の〈扱う言葉に鳥肌が出ちゃう 有言実行のその態度に鮫肌が出ちゃう〉とか。『HAPPY BIRTHDAY』の〈駆け引きにも綱引きにもならないやり取り〉とか。雨のテーマから脱線してしまった。私はback numberのそういうところが好きなのです、というお話。


7.『相合傘』 aiko

ささいな笹さんと、お互いの好きな曲を教え合いっこしてたときに知った。教えてもらったのは『親指の使い方』だったのだけど、カップリングにあった、こっちもとても好きだった…。

相合傘の所 右傘は誰に宿る

一番のキーワードでもあるこの詞。直接的なことは何も言っていないのに、全ての状況がわかるのだからすごい。

この曲は、明るいか暗いかで言えば後者だろう。aikoの曲は全て聴いているわけではないから詳しい分析はできないけど、収録されているシングルの『花火』とは歌い方が全然違う。普段のaikoの声よりももっと湿り気を含んだ声が、ひとりきりの薄暗い部屋で体育座りをしているような雰囲気を浮かばせる。悲しいけど泣いているわけではない感じ。焦点の定まらないどこかを見ながら、ふう、とため息をついているような。

しかしトタン屋根を叩くような雨音が奥で刻むリズムは暗すぎず、少し軽やかな印象まである。そのアンバランスさが独特の空気感を生んでいて、好き。

最後に個人的aikoのお気に入り曲、挙げておきます。救いがねぇ〜!


8.『Pale Rain』 imase with PUNPEE & Toby Fox

TikTokを流し見していたとき、ある音源と運命の出逢いをしてしまいました。imaseの『NIGHT DANCER』。これはまだ配信されていない。え、めっちゃ好き、誰これ、何これ……!? と心臓をドキドキさせながら作者を探し出して、この曲にたどり着いた。曲の一覧を見てみたら聞き覚えのある音源がたくさんあって、これ、この人だったんか……となった。最近TikTokがきっかけで好きな曲に出逢うことが増えたな。

ポカリスエットのCMに使われているから、聞いたことがある人もいるかも。

プレイリストの連載をし始めて気付いた自分の好みのひとつに、「複雑な音の重なり」がある。もっぱらJ-POPを聴く私にとってあまり馴染みのない音が何重にも重なり合って鳴っていると、ワー!何これ!好き!となる。心は知らないおもちゃを見た幼稚園児よ。そういう点でこの曲はもう、イントロの時点からワー!!!のオンパレードだった。楽しい。

『NIGHT DANCER』についても書きたい。配信してくれないかな……。imaseを知った数日後、なんと推しがこの曲を踊ってくれたの! 喜びの舞を披露するところだったわ(?)見てほしいのでリンクを貼っておきますね。


9.『傘』 阿部真央

私の「好きな音楽」の基盤を作ったお方、阿部真央姉さん。
阿部真央の曲は、ものすごくシンプルに分けたら、「力をもらえる明るいパワー系」「キュートで切ないラブソング系」「どろどろくつくつ愛を煮込んだダーク系」の3つに分かれると思う。私は彼女のダーク系統の曲が特に好きで、『傘』はその中のひとつである。

降り出した雨 夜の闇に 濡れたブラウスを見た
持っていた傘を広げること躊躇ってた理由は

イントロが無く、叫ぶように始まる〈降り出した雨〉というフレーズ。「降り出した」の「だ」と同時に、何かが弾けたような音がする。映像に起こすとすれば、金色の砂が入った球が壁に投げつけられて破けて、キラキラした粒子がスローモーションで散っていくイメージ。そしてその音が以下のCメロで再び鳴る。

スローモーションで君を倒す 髪が香ったら 僕等はきっと 同じ罪

〈僕等〉の関係に変化が訪れるタイミングを表現しているのかも。こういう考察って本気で考え出すと夜が明けちゃう。今回これに書かなかったらこの音にまでは気付いていなかったから、いいきっかけになった。阿部真央の描く、わかっているけど逃れられない愛の歌。今度それでプレイリストを書いてみよう。


💧☔️🌂💧


終わり! ありがとうございました。
1ヶ月空けるとやっぱり、文字数や分量の感覚を忘れてしまうな。
次回から、ベースは「今週よく聴いた曲○選」のようにテーマを決めすぎず書こうと思います。その方が手軽に曲を集められながらも、熱量はきちんとこもったものが書けそう。いろいろ試してみる。

次の更新までプレイリストを公開しています。よかったら聴いてみて!

#好きなうたの記録

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