小さな語りシリーズ2024/07/19 Small Story Serie
2024/07/19「入道雲」"Cumulonimbus"
夏休みの始まりと共に、男の子と女の子の兄妹は田舎の祖父母の家にやってきた。家は山間の静かな村にあり、鳥のさえずりと風の音が心地よい。毎朝、祖父母の庭で朝食をとり、祖父と一緒に畑の手伝いをするのが日課となった。
ある日の午後、兄妹は近くの川へ向かった。川沿いの道は細く、草がぼうぼうと生い茂っている。途中、お兄ちゃんがふと立ち止まり、妹に「見て、あれ」と指をさして言った。空には大きな入道雲が浮かんでいた。真っ白で、ま