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TECHと教育のこれから | "Most likely to Succeed"を見て


カリフォルニア州・サンディエゴ。High Tech Highという名の公立学校。
生徒の50%は低所得層、州からの資金で運営されている。授業開始のチャイムは鳴らず、一般的なペーパーテストもない。

生徒たちは、何故これが好きなのか?退屈の定義とは?
自分自身が気が付かなかったことを知るために、徹底的に「理由」を考えさせられる。

ここで働く教師も、州に縛られず一定の裁量を与えられる。
一般の人、保護者たちを招いて審査発表会を行う。それが、生徒たちの評価の場であり、自信をつける場になる。
本を執筆する、それも審査対象の一つになる。
チームでの考え方、質問の仕方、その一つ一つを、例えば チームで演劇を作り上げる中で学ぶ。作品そのものだけでなく、チームワークを見てもらう。

見る人によって、様々な意見・評価が出るであろう、そんな環境だ。


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テクノロジーの発展により、人間が生み出した”人工知能/AI”は、
人間とのチェス対決に勝利した。
クイズの回答者はAIにとって代わり、技術の向上は喜ばしいもものの、
より一層、「人間として出来ること」の意味が問われるようになってきている。

"Most likely to Succeed"
これは、そんな状況下の中、前述の公立校での取り組みを主軸に、子どもたち・その親、周囲の人間によるドキュメンタリー映像、"Most likely to Succeed"を拝見しての感想と、備忘録。主催は、本ドキュメンタリー作品を精力的に上映しているコミュニティ・FutureEdu Tokyo。教育に対し、様々な視点から関わる人が垣根なくつながり、発信している・・・そんな印象を受けるとてつもなく素晴らしいコミュニティ。


補足)
大好きな映画、今は亡き野沢尚氏脚本「ベイカー街の亡霊」(2002)。
この作品でも、人工知能、官僚などの世襲制、血筋にとらわれる人々、学校教育の在り方(PCを触ってばかりの子どもを異端分子として扱う・・・)など、脚本家からの問題提起が散りばめられている。
「人工知能なんて、まだ生まれちゃいけなかったんだ・・」開発者の少年は言う。
話が逸れるが、作品中で人工知能が圧倒的力をもって物語をリードしているにもかかわらず、その解決の糸口を見出したのは親子の絆、”血縁”だったというということ。
血縁によって苦しんだ犯人は、地震の血縁が露見することを恐れ、結果的にある少年を死に追いやり、はたまたその父親に自ら手を下す。そこをある父子が救いの手を差し伸べる。
この対比がたまらない。。。
(この作品については本当に熱が入りすぎるので、改めて書きます・・・書きたい・・・!うずうず)


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変化の時代、教育文化を”変える”ということは当然リスクもある。
(時代が変わる中で、そのまま置いておくこともリスクでもあるだろうが)

前述の学校では、これからの時代に子どもたちが生きるために、今後の問題解決に備えて、「成功した時のイメージ」「出来上がったときの成功イメージ」を持つことを重要視している。
自分の中での「成功体験」をつかみ取り、自分自身を超えていくためのステップ、ということだそうだ。
ある意味、自分をだます、演じる、ということなのだが、それはきっとそうふるまっていく中で現実となる、自分自身についてくる。

"Most likely to Succeed"の中で、内気な一人の少女がいた。
先生に質問をされても、なかなかうまく言葉に出せない、引っ込み思案な少女。だけど、そのもやもやから脱したい・・・そんな狭間で戦っている、そんなイメージだった。

そんな彼女は、ひょんなことから演劇チームで演出監督をやるように。
全体を見わたし、より良い方向に導くための灯を照らす。あれ、こんな女の子だったっけ?そんな気持ちを抱かされた。
写真や映像でその相手を追っていると、なんだかとてもその相手のことを深く知っているような気持になる。スクリーン上に切り取られた彼女しか知らないのだが、とても不思議な心持ちだった。

ちなみに、演劇の題材もまた面白い。
「古代」のリーダーシップ・外交・服装・・・それらを現代に置き換える、というテーマ。作中では、古代人のような布をまとった子どもたちや、紛争に対し声を上げる人々が映し出されていたが、演劇の詳細な内容はわからない。
だけど、その掲げているテーマだけでも、「一体どんな感じなんだろう?!」と好奇心がそそられる。なんて楽しそうなのだろう。彼らは、どこまで成長していくのだろう、そんな気持ちでいっぱいになる。


機械学習が進み、それらの技術・知能はどこまでどのように進んでいくのか、未知の世界だ。
ルーティンワークの仕事はAIにとって代わるだろう、と言われる。
ならば、課題を見つけて問題提起をしていくほかない、人間は。


世界の中の課題はきっと無くならない。
自分のまわりの世界だけでも、より過ごしやすくするために何が出来る?そのトレーニングの一つが、この取り組みである。
そもそも、お金を払って、学校に通う意味があるの?という話にもつながる。

何かが変わらないと、何も変わらない。
学校が変わらないと、民主主義も変わらない、ということだそうだ。


変化の時代に生きるために、自分自身に、問いかける。
「やってみなよ」「なぜそう感じる?」



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過去、上映会に参加された方で、教育についてわかりやすくまとめられている方がいらっしゃたので、記載させて頂きます。
■Maho Sylvia Watanabeさん
ドキュメンタリー 「Most Likely Succeed」 を観て
- 文字の強弱、図式・・・とてもわかりやすい。
この方がおそらく在籍していらっしゃる Ashoka Japan、とても気になる・・・。

■FutureEdu Tokyo
Most likely to Succeed とは
- 今回上映会を主催している上記コミュニティ様による、ドキュメンタリーの概要説明。動画掲載もあります。



■Ted Dintersmith氏
今回、上映会において来日されていた本ドキュメンタリー制作プロデューサーであるTed Dintersmith氏。アメリカのイノベーション教育にも携わられているお方。
What School Could Be という著書も2018年発表されたところであり、
後述にもある、FutureEdu Tokyo代表の竹村詠美氏によって本書の書評もされていたので、紹介させて頂きます。

イノベーション時代における学校のありかたと可能性(竹村詠美)


■Ted Dintersmith氏 来日時インタビュー(2018年)
米教育界の論客が映画で見せた「これからの教育」
- 写真から伝わってくる、その熱量・・・。千代田区立麴町中学校での民族、大人子ども関係なく輪になって話している光景が、とてもすき。

FutureEdu Tokyo代表の竹村詠美氏。語彙力がなくとても申し訳ないが、とても格好良い・・・。この方々が問題提起をして、日本にこのような風を送り込んでくれたおかげで、私はこの作品に触れることができたし、もっと知りたい・近づきたい、と思った。

その一つのとっかかりとして、今これを描いている。




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