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浮つかない。駆り立てられたら要注意。


「東京マグニチュード8.0」というアニメを知っていますか?
主人公の少女が、退屈な毎日に飽き飽きして、
「毎日毎日ヤなことばっかり…。いっそのこと、こんな世界、壊れちゃえばいのに」
と呟いた瞬間に大地震がきて、そこから、懸命に家に帰ろうとする物語。

当時、この少女のセリフにギクリとした。
「こんな世界、もう全部ぶっ壊れちゃえばいいのに」
っていう自暴自棄的な感覚、なんかちょっと分かる気がして。
もういっそのこと全部壊れてくれたら、めんどくさいあれやこれや、全部から解放されるのに…みたいな、もしくは、何かが起きてくれたら全部リセットされて、ひとっとびに世界線が変わってくれるのに…みたいな希望。
そんな願望を深い部分で抱えている人、実はけっこういるんじゃないかと思う。

だけど、緻密なシミュレーションの末に描かれたこれを観ると、そんな浮ついた願望は消え去って、あぁ、普通に嫌だ…絶対に嫌だ…って、正気に返るような気分になる。
それだけじゃなくて、ただやみくもに怖がるよりも、「もしもこうなったら何が必要か?」とか「どうやったら身を守れるか?」とか、自分自身に当てはめてシミュレーションすることもできる。
こんなに危機的な状況の中で、ここまで意地を張れるものなのかと、少女の態度に若干疑問を感じる場面はありつつもw、1度観ておいて、損はないと思うアニメ。


「正気に返る」って、本来もっと淡々としているはずの「現実」に、着地すること。
何かの情報に煽られて不安になるのも、全部ぶっ壊れてくれたらいいのにと方向性を間違えた願望を抱くのも、救世主が現れて世界を救ってくれると期待するのも、どれも幻想に焦点を定めて浮ついているような状態で、その浮き上がった状態から、まず地面に着地する必要がある。

特に今、そしてこれからは、何か駆り立てられるような感覚になるものには要注意で、「あ…今駆り立てられてるな…」って、いい方にも悪い方にも、感情を扇動されているような感覚に気づいたら、それと一旦距離を取って一息置けることが、とても重要になる。


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