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サントリーニの夕陽

「やっぱりサントリーニ島の夕陽が一番綺麗だったよ。」
そんなことを言うカップルが後を絶えない。それは、ハネムーン島とも呼ばれるサントリーニ島では当たり前のことかもしれない。むしろ夕陽なんてどこで見たって同じだという人もいるかもしれない。
それはどちらも間違いだ。サントリーニの夕陽はそもそも他のどこの夕陽とも違うのだから。

「あー、これってこういうカラクリになってたんですね。」
「そんなバイトみたいなこと言うな。お前もちゃんと仕事でサントリーニに関わるようになったってことだよ。」
「他人のこと言えないですけど、これ一回知った後見ると観光客って何でそんなことも想像できないんだろうって思いますね。」
「まあな。よく考えれば分かる気がするけどな。」
「でも一周まわって、これ知った後見ても価値は変わらないかもですね。」
「一丁前なことを言うな。ちゃんと仕事してから言いな。」
「はーい。」

観光立国ともいえるギリシャの目玉といえば、サントリーニ島を中心としたエーゲ海の島々だろう。その中でも目を引くのは一面青と白しか見えない街並みと海、そしてサンセットだ。実際に世界一のサンセットと呼び声も高い。
晴れの確率も高く観光客はいつ来てもほぼ毎日サンセット見られることに加えて、空気が澄んでいること、島全体が崖のようになっていることから実際にサンセットが見やすく綺麗に映るのも事実だ。

しかし、それにしても綺麗すぎる。そのサンセットには異常な数の人が集まってきており、島が沈んでしまうかと思った。
新婚旅行から帰って来た僕は、友人にサントリーニ島のサンセットの美しさを上手く伝えられずにいて写真を見返していたのだった。
写真の中には真っ赤なビーチ、乳母車を押す赤ちゃん、坂を元気に登るおばあちゃんが写っていた。そういえばゲイカップルが集まる街でもあり、微笑ましくもいつも見る世界とは景色が若干違っていたなという感想を思い出した。

写真を一通り見た後に、動画を眺めているとブルードームを出入りする人が目に入った。あまり細かいことを考えずに綺麗だからとカメラを回していただけだったけれど、聖職者にしては若干の違和感があった。
もしかしたらサントリーニ島はものすごいところだったのではないか?一瞬そんなことが頭をよぎったけれど、そのくらい魅力に詰まった島だったのだろうと思い直してサントワインを飲んだ。

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Haru
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