厳しいお母さん④
※実話のため、プライバシー保護の観点から
少しフェイクを織り交ぜています。
Aちゃんのお母様を見送ってから、
こわいお母さんだって決めつけて申し訳なかったな
と、つくづく思いました。
これまでも、たくさんの保護者の方と関わる中で
どの親御さんもお子さんへの深い愛情と思いがある
ということを見聞きしてきていたのに、それを踏まえず
「一面だけを見て」勝手に誤解していたことを反省しました。
私が「厳しいお母さん」だと決めつけていなかったら
もっと早く、Aちゃんのお母様のお話を聞けていたのに。
聞いていたら、サポートできることもあったのに、と。
「一面を見て」の誤解は、たくさんあると思います。
例えば、歩き始めた子どもにハーネスを付けること。
「犬の散歩じゃないんだから!」
「親がちゃんと手をひいてやればいいのに!」
「紐で繋ぐなんてかわいそう!」
ハーネスがない時代に使ってこられなかった方や
歩き始めた子どもの手をひいて歩いたことがない方、
そういった方には、それが正論かもしれません。
歩き始めた子どもは、
行きたい場所へ自分で移動できる喜び、
足の裏から伝わってくる振動や感触の面白さ、
視界の変化は世界が変わったかのような興奮もあるでしょう。
それらを楽しい嬉しいと感じるとともに、
自分がしようとしていることを制されるのを
ものすごく嫌います。発達的にそういう時期なのです。
親御さんはそういう子どもを、
車が行き交う、あるいは多くの人が行き交う道で
歩かせることが、危険だとよくわかっています。
だから、ハーネス、なのです。
自由に歩きたいという自分の意思が芽生えている子どもは
親御さんの手を振り払います。
手を振り払って、座り込んで抵抗します。
手を振り払った勢いで飛び出してしまうこともあります。
何か面白そうなものを見つけて、まっしぐらに走っていくこともあります。
じゃぁ、公園で歩かせろ、広い場所で歩かせろ、
という方がありますが、
子どもの歩きたいという意欲、
なんか面白そうだ、あれはなんだろうという
好奇心、大事なんですよね。簡単に制御できるものでも、
していいものでもないのではないかと私は考えています。
想像力と、温かい気持ちを持って
もう一度、その姿に目を向けてみてもいいんじゃないかな
と感じています。
幼児のハーネスはそういう発達時期にある子どもへの
苦肉の策、とでも言いましょうか。
決して犬扱いしているわけでも、
手を繋ぐのを怠っているわけでもないのです。
幼児用ハーネスについては賛否両論あり、
着けるのは間違ってるか、正しいのか、という事は
安全面や、子どもの発達への影響なども鑑みて
考えていかなければならないことで、
この場ではあくまで、「一面を見て決めつけない」ことの
例としてあげていることをご承知いただきたく
よろしくお願いいたします。
閑話休題
「一面を見ただけでは判断できない」
と思っていたのに、見誤ってしまっているよ、
とAちゃんのお母さんとの出来事から
気づかせていただいた思いでした。
そしてこの事は、そうだったのか、で済ませるのではなく、
本当は優しいお母さんでいたいお母様に
どんなお手伝いができるのかと、思い巡らせました。
続きます