見出し画像

1、本当に欲しいもの〜Yちゃんのお話

※実話のため、プライバシー保護の観点から
 少しフェイクを織り交ぜています。

2歳児クラスのYちゃんのお母様は、会社を経営されていて
遠く離れた地域に新たに支社を出すとのことで、
とても忙しくされていました。
お母様はその新たな支社で準備をされているため
Yちゃんは普段はお父様と暮らしていて
お家のことや、身の回りのことはお父様と
おばあ様がお世話なさっていました。
幼稚園受験を希望されていたのですが、
週に1度の親子教室の日には
必ずお母様が一緒に来られていました。

週に1度、やっとお母様に会えたYちゃんは、
当然、甘えたくて仕方ありません。
自分で靴も脱がなければ、抱っこ抱っこで歩こうともしませんし
授業もお母様の膝に乗って抱きついたままでした。
椅子に座るよう促そうものなら
泣きながら床を転げ回って抵抗しました。

(仕方ないよな、まだ3歳になったばかりの子なんだから)
と思うものの、授業を受けているとは言えない状況を
どうしたものかと私も思案していました。
月齢は早い方で、物事の理解もよくできているのに
「できるけど、しない」姿を見て、心の状態も心配でした。

Yちゃんは普段は保育所に通っており、保育所の先生に
様子を伺うと、なんと
「とてもしっかりした子でクラスのリーダー的存在です」
とのこと。
(賢い子だけに、普段は頑張っているんだなぁ)
と、健気なYちゃんに胸が痛みました。

そして、忙しい中、週に一度は必ずYちゃんのために
帰ってきて一緒に過ごすお母様にも、
なんとアドバイスして差し上げればいいのか、
わかりませんでした。

2、に続きます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?