波累の話⑦
〜再び母と私〜
中学生の間、私は部活が忙しくて、
夏休みも冬休みも春休みも、ほんの僅かしか休みじゃなかった。
ほんの僅かな休みは、母の元へ遊びに行っていた。
自分の住んでる家ではない、だけどお客さんでも無い。
どこまで母に甘えていいのか。
私は、どう過ごせば良いのか悩んだ。
母が仕事に出た後は、弟と過ごす。
仲良くしてる時はいい、喧嘩になると私は居場所を失う。
私の部屋は無い。土地勘も無い。ここには友達も居ない。
途端に祖父母の元へ帰りたくなる。
家に電話して、迎えに来てもらおうかと何度も思った。
だけど、母と一緒にいたい。
まだ帰らない。もうすぐ母が帰ってくる。
これをほぼ三年間繰り返した。
私の心は、不安定で、
母の家に行きたくて、祖父母に送ってもらう。
すると、母に会えるのは嬉しいが、
祖父母が帰ってしまう。
離れるのは寂しいと泣く。
祖父母の元へ帰る時は、母と別れるのが寂しくて泣く。
どちらとも一緒に居たい。
でも、それは、絶対無理な話。
一体、涙はどれくらい流れるんだろう。
どれくらい泣いたら、許されるんだろう。
そんな事も考えた。
高校生になると、
バイトしたり、友達と遊んだりして、
母を求める日は、少なくなった。
本当の事を話せる友達もできたし、
私も少し大人になった。
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