映画『羊と鋼の森』

2018年製作/134分/監督:橋本光二郎/原作:宮下奈都
出演:山崎賢人、三浦友和、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌

2016年本屋大賞を受賞した作品。
将来の夢も希望もなく生きていた主人公が、高校でピアノ調律師と出会い、
生まれ育った森から出て、ピアノ調律師を目指す。専門学校を出て、新米調律師として働く。自分に「才能がない」と悲観的になりつつも、調律を通して知り合った人々との関わりによって、希望の光をつかむ物語。

「ここのピアノは古くて、やさしい音がする。
昔は山も野原も良かったから、羊もいい草を食べていたからでしょうね。」

なぜ、羊? と思ったら、
羊のフェルトでできたハンマーが、鋼をたたいて音を奏でるのがピアノ。
その調整をするのが調律師のお仕事。

ずっと、音程を整えることだけが、調律師のお仕事だと思っていた。
音程だけでなく、音色をも希望に合わせて調整できることに驚いた。
調律後に、「弾いてみてください」と言って弾いてもらう場面も好き。

相手の希望を引き出すには、コミュニケーションや信頼関係が大事。
どんな仕事でもそうだと思うけど、そう簡単にはいかない。

主人公が自分には「才能」がないんだろうか?と悩んでいだ時に、
鈴木亮平演じる先輩調律がこう伝える。

「『才能』っていうのは、ものすごく好きって気持ち。
どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、思いとか、
あきられない気持ちを持ち続けることが『才能』」

この言葉が、とても響いた。

主人公が関わるピアニスト姉妹も、挫折を味わいながら成長する。
陰に日向になって、支え合いながら、希望の光をつかむ。

人生は、一人きりでは、奏でる音に狂いが出ることに気づかない。思ったような音を響かせることができない。他の人との関わり合うことによって、チューニングされ、希望する音を奏でることができる。そして、さらに、自分の想像を超えた音を響き渡らせることもできる。

そんなことを感じた物語でした。

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