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ななせさんと私の話①

【前書き】

はるです。
今回noteのお題企画が「#私のイチオシ」ということで、これは私のためにあるような企画ではないかと筆を取った次第です。

私のイチオシは、勿論、長野出身のシンガーソングライターななせさんです。
これまでに2本、ななせさんを紹介する記事を書かせていただきました。

2018年4月から本格的に音楽活動を始められたななせさん。来たる3月25日に1st album「maniac love」をバーガーインレコードからリリースされます。

そこで、今回はななせさんを応援する気持ちを込めて、私がななせさんのファンになった経緯を書き記したいと思います。
noteでの私の自己紹介という意味合いもありますし、自分自身の記憶のアウトプットでもあります。
私の個人的なお話になってしまいますが、その点はご容赦ください。

【雨の夜のこと】

私は地方都市で社会人として働いていますが、2019年4月からフルタイムで働きつつ、夜は学生として勉学に励むという二重生活を始めました。
夜間に通学する以上、これまでのように仕事が溜まった時に残業で片付けるというわけにはいかなくなりましたが、かと言って仕事の絶対量が減るわけでもありません。学生生活もただ講義を受ければいいという訳でもなく、日々積み上げられる課題課題課題。
自分で望んで始めたこととはいえ、慣れない忙しさから、入学から2ヶ月が経とうとする頃にはすっかり参ってしまっていました。

そんなある日のこと。
いつものように講義を終え、終電で最寄駅に降り立つと、外は土砂降りの雨。
「梅雨にはまだ早いはずなのに」
駅から歩いて帰ることを考えると、疲れで重い足取りがさらに重くなりました。
空腹と疲れに気持ちの重さも加わり、ダラダラと歩いていたところ、駅を出る辺りで耳慣れない音が聞こえてきました。
「歩く距離がさほど変わる訳でもないし」
なんとなく興味を惹かれ、普段は歩くことのない駅前のアーケードへ足を向けました。

アーケードに差し掛かると、耳慣れない音の正体はギターの音と女性の歌声であることが分かりました。
「珍しいな」
地方都市とは言え、路上で歌う人を見るのは初めてではありません。とは言え、普段見かけるのは休日の昼間、駅前の広場や地下通路で歌う姿が多く、アーケードで夜間、というシチュエーションは初めてでした。
ちょうど私の進行方向に歌う人影が見えました。
シャッターの下りた商店の前に座り、ギターを抱えて歌う若い女性。
通り過ぎる際に横目で見たスケッチブックには『ななせ』『47都道府県ツアー中』の文字が見えました。
「なるほど、この辺の人ではなかったのか」
珍しいシチュエーションの謎が解けたと家へと歩み進めようとした時。

雨音を切り裂くように、力強い歌声が耳を打ちました。

振り返ると、先ほどの女性、ななせさんがギターを掻き鳴らし、歌う姿が目に飛び込んできました。
サザンオールスターズの「TSUNAMI」
ちょうどサビに入り、ハイトーンの力強い歌声に切り替わった瞬間でした。
「すごいな」
思わず呟いて、フラフラとななせさんの前に戻りました。
『長野出身19歳』
先ほどは見落としたスケッチブックの文字。想像以上に若い年齢に驚きました。
視線を落とすと手書きの原稿をコピーしたフライヤーに、並べられた4種類のCD。47都道府県ツアー…夢を追う若い姿がただただ眩しく、じっとその場で歌に聞き入ってしまいました。

気が付けば曲が終わり、耳には雨音が戻ってきました。
『ありがとう』
拍手を送ると少しはにかむようにお礼を言われました。
『もし良ければ』
手渡されたフライヤーにはSNSのアカウント情報と1ヶ月のライブ情報。47都道府県ツアーの言葉通り、あちらこちらでライブをしていることが記されていました。
『あまり人がいないんですね』
「平日ですし、もう電車も終わる時間ですから。田舎なので終電も早いんです」
人通りが少ないのは天気の所為だけではないことは、2ヶ月間毎晩のように終電に乗っていたので分かっていました。

二、三言葉を交わすと、ななせさんは次の曲を歌い始めました。普段音楽を聴くことのない私でも知っている、昔ながらの曲。19歳らしからぬ選曲だと手にしたフライヤーを眺めながら考えていました。
「この曲が終わったら帰るかな」
ふと目に止まったのは路上に置かれた小銭の入った箱。
「なるほど。そういうものか」
歌い終わったななせさんに再び拍手を送り、財布から取り出した千円札を箱に入れました。
『えっ!?』
何故か慌て出すななせさん。
『せめてCDを持っていってください!』
並べられた4種類の中から選んだのは、一番新しい作品だという市販のCDに手書きで「us」というタイトルが書かれたもの。
販売価格が二千円とのことで、千円札をもう一枚。
「ありがとうございます。がんばってください」
もう一度頭を下げて、今度こそ家路に着きました。

家に着き、夕飯を終えた後、渡されたCDを取り出し、再生。
耳に飛び込んできた曲は「us」
「なんだ、これ」
ハイトーンの力強く、美しい歌声にすっかり心奪われました。
続く「image」「フルーツバスケット」「440」「高架下」「karen」。
何度も何度も夢中で聴き続けた私は、その後、Twitterのアカウントを開設して呟きました。

あの時、きちんとCDを買えば良かった。
次に会える機会はあるのだろうか。
いや、自分で機会を見つけて聴きにいかなければならない!
「us」を繰り返し繰り返し聴きながら、一人のななせファンが誕生しました。

その後、イチナナの配信にも参加するようになり、ななせさんの活動を具に観るようになった私は、気が付けば仕事にも学業にも今まで以上に打ち込めるようになっていました。
通学途中は常にななせさんの歌を聴くか、時間が合えばイチナナ配信に参加して過ごし、帰宅してからもななせさんの歌に浸る。
そんな生活をしていればストレスが溜まることもなく、文字通り人生が好転していくことになったのです。

【きっかけ】

そもそも、何故ななせさんはあの時、あんな場所で歌っていたのでしょうか。

長野出身で、現在は東京に拠点を置いて活動されているななせさん。
ライブでもない限り、地方都市に現れることはないはず。
そう、ライブがあったのです。
私の住む街に、音楽イベントを自主企画されているYさんという方がいらっしゃいます。
Yさんが友人でもあるもりきこのDANNYさんのワンマンライブを企画し、DANNYさんの紹介で、そのライブのオープニングアクトとしてななせさんが呼ばれたそうです。

ななせさんはライブの前日に前乗りをして路上ライブをします!と意気込んでこの地方都市にやってきて…

そう、YさんとDANNYさんがいなければ、私はななせさんと出会うことすらできなかったのです。

その後、Yさん企画のイベントにななせさんは2回出演されていて、その都度私も会場に足を運ばせていただきましたが、Yさんからは『何故この街にななせのファンがいるのか謎だ』という疑問を持たれていたようです。
私としてはYさんとDANNYさんには足を向けて寝られないほど感謝の気持ちでいっぱいなのですが、偶然の出会いを齎してくれた当人には謎の出会いだったようです。

多分、続きます。

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