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『悪意の経典』第2章:森の妖精

『悪意の経典』第1は、悪意の似顔絵セッションを最大限に楽しむための方法を記している。
2章以降はセッション中に出会った、いや出会ってしまったものたちの観察記録をしていこうと思う。
ここに記されているのは、僕が「闇」と呼ぶ内なる世界の物語だ。

出会いは森の入り口で

その森の妖精は、とても力の強いトロールという種族だった。

ただ、出会ったときは人の言葉を話し、しきりに僕ら人間をどこかに連れてこうとしていた。

彼らは筋力も強く、がっしりと掴まれれば逃げることはできない。

時に人を掴んで、森の奥に引きずり込み、その人を囲んで楽しげなもてなしをするそうだ、対価はいただかれるそうだが。
…噂である。

しかしこの妖精は、しきりに話しかけてくる。
その話は、要領を得ずよくわからない。
僕の経験上、どうみてもこの妖精は超能力を有する希少種だ。

どうやら自覚がないのか、能力を使うことをあまりしないようにしているようだった。

仕方がないので、僕はひとつ貴重なアイテムを使って思念で会話することにした。

なぜ、能力を使わない?
得たいことがカンタンにできそうなのに?

すると妖精はこう答えた。

メンドクサイ。
アレツカウ、トテモツカレル。

おい。よくわからん感じで誘われる身にもなれ。
とは言わず、交渉を続ける。

お前の能力は、特別だ。
それにお前は周りのものに命令できるだろう。
その特別な力を使って周りを助けることができるはずだ。

急に妖精は黙って何かを考え始めた。

ハラヘッタ…
ナンカイイニオイ
ホシイ

こちらは真面目にアドバイスしてやってんのに能天気なやつだ。

何も持ってないぞ?
古くなった果物が少しあるがそれのことか?

ソレ、ホシイ
ヤモリクロクヤイタノモ
”””スキ”””

ヤモリ?そんなものは無いが、腐りかけのリンゴをやると妖精はうまそうに食べ始めた。
なんか可愛く見えてきたな…。

すると妖精はとても穏やかな様子になった。

その目はギラリと輝き、楽しげな様子で森の中に消えた。

その去り際に、とても芳しい華の香りがしたのをよく覚えている。

【悪意の似顔絵セッション】についてはこちらをご覧ください↓↓↓

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