権威主義とサボリ癖のある脳の関係

「芸能人の○○さんも愛用している!」こんな謳い文句一度は見たことありますよね。
あの有名な○○さんが使ってるのなら良い商品に違いない!と判断し、購買に進んでしまう。商売人からするとよくある手法です。

これは心理学用語では『権威バイアス』あるいは『ミルグラム効果』と呼ばれるものです。
人は何かにつけて理由を付けて、考えをそこで止めてしまうものです。
何故ならそれが楽だから。
この『楽だから』が今日のポイントかもしれません。

バイアス

さて心理学で言うところの『バイアス』とは主に『認知バイアス』を指します。
簡単に言うと「先入観や直観などによって、思考が偏り非合理的な判断をしてしまうこと」を認知バイアスと呼びます。

例1:男は生まれてこの方横断歩道を赤だろうが渡っているが男曰く「信号何て守ったことないけどケガしたことないから信号無視は危なくない」
これは認知バイアスの中で『生存者バイアス』と呼ばれるもの。
どう考えても危ない、これはただ男が周りに助けられ、さらにはただ運が良かっただけに過ぎない。
しかし男は自身の無傷を理由に信号無視は危なくないという判断を下している。

例2:今日の○○さんは部屋の掃除をしている。A型だから几帳面なんだな。
上記は『確証バイアス』と呼ばれるもので、先入観や自身が既に持っている意見を肯定するために、都合の良い情報だけを見るバイアスです。
今日は掃除してるけど、そもそも几帳面であれば思い切った掃除の必要はなく普段からまめにやってるので掃除が目立つことはない。
『A型が几帳面』という先入観による思い込みで、○○さんは几帳面であるという結論にしてしまっています。

このバイアスってやつは本当に厄介者で、ありとあらゆる人が普段からバイアスにかかります。
脳の仕組み的に避けられないものなのです。

脳は楽をしたい

何がしかの意思決定を行う際に、時には難しい判断を迫られる時もあり全て容易には行えません。
ではその場合どうするか?というと明確な根拠はどうだろうが理由付けを行い判断をする傾向にあります。

この料理美味しいかどうか分からないけど、有名人も通う店→判断→おいしい
この意見が正しいか分からないけど、多くの人がそういってる→判断→この意見は是

などなど人は自分自身で判断が付かない時に自然と他の情報で理由をつけて後押しし判断を下します。
これは判断を下す『脳』が考えることを出来る限り止めたいと思っているからであり、そのサボリ癖のせいでバイアスというものが生まれるのです。

権威主義

ようやく本題です。権威主義。
皆さんは権威主義をどういうものと考えますか?

一般的に権威主義とは特段の理由がないのに偉い人に対して、盲目的に従ってしまうことを指します。
例えば総理大臣が「これはNO」と言えば、YESである考えも持てそうなのに「ああ、これはダメなんだな」と従ってしまうことです。
それが完全な悪というわけでは決してないのですが、せっかくの判断するという行為を手放してしまうのは勿体ないと思います。

これは何も偉い人だけに限る話ではありません。
例えばとある集団の中で意見が割れ赤チームと白チームに分かれたとします。
赤チームの方が白チームよりも多数となった時、赤チームの意見を肯定的に捉え白チームの意見はぞんざいに扱われることがままあります。
これも『多数派』となった赤チームを強者(権力派)と捉えることで、権威主義により赤の意見が正しいと思うようになってしまうのです。

では上記のような多数派を生む以外に権威付けはどのように行われるのでしょうか?

王権神授説

時の権力者に民衆が従うだけの権威を付ける場合、一番楽なやり方は「偉いやつから生まれたから偉い」ってやり方です。
では偉いやつとは?となると一番偉い人、そう神から生まれた(あるいは先祖が神)ということにすれば「神様の子孫なら従おうか」と権威バイアスが発動するんですね。
東方遠征でマケドニアの版図を広大にしたアレクサンドロス大王もご先祖はヘラクレス(父親ゼウス)とアキレウス(曾祖父ゼウス)と神の系譜です。
他にもハンムラビ王はシャマシュから王権(法)を委託されてたり、日本という国を作り127歳という驚異的な年齢でお隠れになった神武天皇も天照大神の来孫である。

絶対王政期の欧州ではこの王権神授説を多く推しており「王は神に対してのみ責任を取る」とし、民衆は王に理由なく従うべきとしていた。

あとがき

反権威主義最高!バビロンシステムをぶっこわせ☆
なんて普段から思う時もあるが声には出さない。
時には多数の意見に流されて脳を休めるのも大事なのかもしれない。
抗ってばっかじゃ疲れてしまうので

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