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ギリシャ神話の話3 ギガントマキア2

前書き

前回の話はこちら。

いよいよみんな大好きヘラクレスの出番
古代ギリシャの人はみんなヘラクレス好き過ぎて、ヘラクレスの神話は他の英雄に比べても圧倒的に多い(気がする)
ギガントマキア以外でもオリンピックの創始者だったり数々の英雄が乗船したことでお馴染みのアルゴー船に乗って冒険してたりもする。
もちろんHades(ゲーム)でも・・・と言いたいところだが、初代には出てこないが2には出てくる。

最強の男 ヘラクレス
今のところただの邪魔なおじさん

ギガントマキアでは神に混じってヘラクレスがどう戦ったのか、前回の続きからです。

最強の英雄

「ヘラクレスを呼べ!」
ゼウスがそう言い放つと、光とともに筋骨隆々の男が現れた。
人間にしては大きな体躯、手には巨大な棍棒を持ち、背中には巨躯な男の身の丈よりもさらに巨大な弓を背負った男だった。
「どこだァ、ここは・・・?」
突然神の座に呼び出された男は訝し気に辺りを見回す。円卓に着座している神たちの姿を見て「なるほどな」とひとりごちる。
「久々だな!兄弟!」
ヘルメスがそう声をかけると、ヘラクレスはニヤリと笑い
「最近辺りが騒がしいと思ったが、ようやく俺に声がかかったわけか」
ヘルメスにそう返すと、ゼウスの前に進み跪いた。
「親父殿!ギガスとの戦、是非俺にも一枚噛ませてくれ!」
「そのためにお前を呼んだ。その金剛のごとき無双剛力の力を我らオリュンポスために振るってくれ」
「おォ、その言葉を待ってたぜ」
頼もしいヘラクレスの言葉にオリュンポス一同は感嘆の声を上げる。

ここからオリュンポス軍の反撃が始まる。

ゼウスが雷霆を振るいギガス達の多くの行動を縛ると、ヘラクレスは矢を放ちギガスに止めを刺していく。
オリュンポスの神では決して殺すことはできなかったが、頼もしい味方の登場で一気に攻勢に傾く。
そしてゼウスに続いて他の神も続々と強力なギガスに挑んでいく。

天下無双

ヘラクレスはまずパレネにいるアルキュレオスを倒そうと走って向かった。


パレネはハルキディキ県カサンドラ半島
ギリシャでは足の半島と呼ぶらしい

パレネはオリュンポスの麓の半島で、アルキュオネウスはパレネで生まれ育ったおかげか、パレネの地にいるかぎり無敵であった。

「オリュンポスの神共も大したことはないな。誰も俺を倒せる奴はいないようだ」

ここにいるぞ

ヘラクレスは大きな弓を構え、アルキュオネウスへ向けて矢を放った。
だがヘラクレスの放った矢はアルキュオネウスに刺さることはなく、弾かれていった。
「何か当たったようだが、お前のような小虫が俺に傷を付けることが出来るわけないだろう」
馬鹿にしたように笑うと、アルキュオネウスは高らかに宣言した。
「この地にいる限り俺に傷をつけることはできんのだ」
「ほう、なるほどな」
そう呟くとヘラクレスは弓を地面に置き、丸太のように太い腕をグルグルと廻転させる。
「15・・・ってとこか」
ヘラクレスは地面に指を置き力を込める。
「ンンンンッヌン!!」
気合とともに腕を上げるとパレネの地は大きな地響きとともにめくりあがり、アルキュオネウスごと大きく空中に舞い上がった。
「空中はパレネの地の外側でいいンだよな?」
「な!!!?」
ヘラクレスは大きく息を吸い込むと、渾身の力でアルキュオネウスへ向けて拳を放った。
ミサイルの如く推進力で放たれたそれはパレネの地ごとアルキュオネウスを貫き飛び散っていった。
「まずは一体」
ただそれだけ呟くとヘラクレスは次の舞台へと走っていくのであった。

ヘラクレスの無双の力が放った一撃は、ギガス達への反撃の狼煙となるのであった。

復讐と恩返し

ゼウスの妻であるヘラは追い詰められていた。
自分の地位を脅かす存在など未だかつて存在しなかったのに、そんな存在が唐突に表れたのだ。
「汚い巨人め。それ以上近寄ると容赦しないぞ」
ヘラは精一杯の強がりを吐いた、そんなヘラの様子を見てポルピュリオンはニタリと口元を綻ばせた。
戦争の始まる前からあこがれていた存在、美しい女神についに自分が迫っている。
興奮のあまり漏れる荒々しい吐息にヘラは戦慄した。
ポルピュリオンの大蛇のような腕がヘラを襲う。
ヘラは必死に身をよじって逃げようとしたが、ポルピュリオンの指がヘラの衣服に引っ掛かり裂けてしまった。
「誰か・・・誰か!」
そう叫ぶとその鈴のような声により自身の憧憬を呼び起こし、溢れる涎を音を鳴らし飲み込む。

風を切り裂くような音が一閃する。
恐怖で固く瞑った眼をゆっくりと開くと、ポルピュリオンの頭に一本の矢が深々と刺さっていた。
「なンだ、アンタだったのか」
ヘラクレスの放った矢がヘラを救っていた。

  1. ヘラは少し気まずそうに顔を伏せ逸らした。
    かつてヘラクレスの出生を疎んだヘラは、ヘラクレスに対して散々な嫌がらせともいえる行為を行ってきたからだ。
    そんなヘラの様子を見てヘラクレスはクックッと喉を鳴らし笑った。
    「何が可笑しい」
    とヘラは憤ったがそれに対しヘラクレスは
    「いやなに、唯我独尊な神でもそういう表情ができンだなと思ってな」
    そう返すと今度は大きく声に出し笑った。
    ヘラは眉間に皺を寄せ口の端をゆがませ
    「かつてのことは、すまなか」
    やめろ
    ヘラクレスはヘラの言葉を遮る。
    「神が人に謝るもンじゃねえ」
    ヘラクレスは強くそういうと、背を向け目線だけ振り返る。
    「アンタが俺を不死にしてくれたおかげで、アンタがくれた数々の試練のおかげで、ここまで強くなれた。それだけの話だ」
    それだけ言うとヘラクレスは歩き出した。
    ヘラは去り行くヘラクレスの背中を見つめることしかできなかった。

後書き

ヘラクレス強すぎん?
今回のギガントマキア書くにあたって手元の資料読み直してたんだけど、ヘラクレスがとにかく強くて大活躍しすぎ。
巨人がいる半島ごと吹き飛ばしたりとかもはや人間じゃねぇ。
ジブラルタル海峡真っ二つにしたり、オリュンポス山持ち上げたりとかもあったから、これくらいなら屁のカッパなのかもしれん。

次回はヘラクレス大活躍パート2


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