第9章 ご飯食べよう 短編小説|ぼくの人生
第9章 ご飯食べよう
「お礼を言う。ありがとう。きみの走る力でわしは助かった。お礼におごるよ。」
「ありがとうございます!」
次の日 ー
今日は年に一度のマラソン大会です。
後渉の準決勝の日です。
まぶしい太陽を浴びて、スタートまでまもなく10秒です。
今日はなんと晴親さんも来ています。
「3・2・1・0!」
「ピーッ!」
全チームの上位2名が次の試合に出れるというステージだ。
ギュィィィン
「くそっ 見上(みあげ)が早い。2位になってしまった。」
「あっ もう見上がゴールした。くそっ。2位かよ。」
「くやしい~。人生初2位か。」
「今度は絶対見上を倒すぞ。」
「よし。こうなったら見上について研究しよう。」
カリカリカリ・・・。
次の日-
決勝に進出した後渉は見上と対戦することになった。
「よーいスタート!」
キラン。
ボボオアァ
「くそっ。見上に抜かされた!じゃあこっちも。」
キゥウウウィ
「うっしゃー抜かしたぁ!」
「てっ、けど体重追いつかないって!こんな中、見上走ってるのか!?」
「ウオオオ」
「くぅ~ギリギリ負けてるぅ~」
「おりゃあー!」
「バシッ」
ゴールテープがぼくの体に突き刺さった。
「な、なんと見上と同時優勝!?」
「くっ。おれがこんなに本気出しても・・・・。」
見上は余裕そうに足踏みをしていた。
次の日 ー
後渉は見上と海図新(かいず しん)・あだ名が かしず という人に出会った。見上「よう、かしず。次も負けないからな」
かしず「あぁ、分かってるぜ。次は負けないぞ。」
見上「あ、後渉じゃないか。昨日はいい走りっぷりだったな。今日もがんばれよ。」
後渉「あっ。はい。」
見上「じゃあな。スタジアムでまた会おうぜ!」
後渉「はい!分かりました!」
後渉は思った。
かしずも足早いのかなと。
その勘は当たっていた。
今日は㋐リーグ、㋑リーグ、㋒リーグ、㋓リーグ、㋔リーグという中から決勝で一位になった人同士の特別な戦いである。
後渉は㋑リーグに出場していた。
つまり分かりやすく絵にかくとこうである
熱き男たちの闘いが始まった。
な、なんと後渉と見上より海図と足 足足(あし あしあし)が早い。
試合はいつの間にか海図と足 足足の闘いに入り込んでいった。
後渉はこのままだと4位で表彰台に乗れなくなってしまう。
それでも後渉は不安を脱いで、そのまま走り続けた。
今、足 足足と海図が同時にゴールした。
後渉はせめて3位以内には入っていたいと思った。
後渉は目をつぶって、最高の走り方をイメージした。
目を開けるとそこはゴール地点だった。
後渉は無事3位以内に入ることができた。
後渉はその夜思った。
イメージとはなんだろう、と。
イメージは人それぞれだけど、心の中にいくつかある。
才能、そしてそれを引っ張り出してくるのも才能だ。
次の日の朝、目を覚ますとさっそくイメージをしてみた。
いつもなら感じられない感覚だった。
今日のスタジアムでは、晴親さんとちょうど目が合った。
「ピー。」
始まりの笛の音がスタジアムに鳴り響いた。
次回予告「第10章のびしろ」
第1章からはここで読めるよ
たくさん読んでくれてありがとう!