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交換留学先で初めて研究をしたが反省点だらけなので振り返り

お久しぶりです、阪大生のHaruです。現在は交換留学で、University of Califorina, Mercedに通っています。(2025年1月に帰国予定)

私のこちらでのMajorはCSE(Computer Engineering Science)ですが、交換留学生の区分ではどの分野の科目でも取れちゃいます。そこで、私はEECS (Electrical Engineering and Computer Science)の"Signal Processing for Internet of Things"という大学院生向けの授業を取っています。一言でいうと、IoTシステムを信号処理の観点から色々研究しよう。という内容の授業です。


座学の授業が火木に一回ずつ、Paper readingのセッションが一カ月に1回(合計3回)、自主研究プロジェクトが1セメスターを通して行われます。自主研究では何を行っても良いのですが、IoT関連で、信号処理の観点が含まれるものという制約があります。自主研究プロジェクトがあるのが、正に大学院の授業っぽいですね。質の高い研究ができたら論文を書くこともできます。

結果から言うと、とても満足できるとは言えない研究をしてしまいました笑
研究のテーマは、「リアルタイムでの僧帽筋の硬さ評価」です。この20年間の世界的なIT化により、人類の一日に座っている時間がとても長くなってきています。座る時間が長くなると、僧帽筋(trapezious muscle)などの首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。そして筋肉の硬直に繋がります。この筋肉の硬直レベルが向上していることを肩につけたモーターの振動を、少し離れた位置に取り付けた加速度センサーでキャプチャし、そのトレンドから筋肉の硬さの評価を行うという研究です。

先行研究としては、UC MercedのPh.D. Candidateの先輩であるShubham Rohalが行っていた、FinePoseの研究を後継しています。

彼の研究

僕らの研究は反省点だらけ


Shubhamらの作ったモデルは、時間が経つと筋肉の硬さが向上することを効果的にとらえることに成功しています。しかし、Shubhamの研究には

  1. Ground Truthデータに沿った、モデルを作れていない(筋肉の硬さが10分毎に向上することを仮定してモデルを作っている)

  2. デバイス上でリアルタイムに筋肉の硬さの評価が行えていない(Matlabで事後的にデータを解析している)

という問題があり、僕ら(クラスメイトのLと一緒にチームを組みました)は独自の方法で、この問題を解決しようとしました。

しかし、
①モデルが不適切
②先行研究の調査不足!!
により先生からダメ出しを喰らいまくりました笑

今回は、僕の反省点を整理させて下さい…

先行研究の研究不足


圧倒的に先行研究を読むのをサボっていました。自分の研究を良くするには、素晴らしい研究に目を通さなければいけないのは自明です。その誰が考えても自明なことに労力を沢山割くことができませんでした。時間を割けなかったのは、研究テーマが自分ごとだと思えなかった(好きでなかった)からかもしれませんが、成果を出すなら、もう少し力を入れることは可能であったでしょう。

集中すべき点の誤り


  1. データ集め

  2. マイクロコントローラのプログラムと修理

に関して集中すべき点を誤りました。

1.データ収集について

僕らの集中すべき課題は、リアルタイムでの筋肉の硬さ評価でしたが、新たなデータ収集に注力をしてしまいました。僕らは新しいモデルを作るぞ!(革命起こすぞ!のノリ)という思いで、最初の研究計画を立てていたので、これについて熟考することはありませんでした。確かに、Ground Truthのデータが必要な場合もありますが、その必要性を研究の初期段階で見極めるべきでした。結果として以下の問題が発生しました。

  • Ground Truthの測定精度の低さ:Ground Truthの測定に使用したMyoton(医療機器)の使い方が不徹底であったことや、体脂肪率や個人差の影響により、信頼性の低いデータが収集されました。

  • データの質の低下:Myotonの測定精度の低さを最初から認識し、Shubhamのアプローチ(時間が経つにつれて筋肉の硬さが向上するという仮定)を参考にすべきでしたが、それを見落としてしまいました。

ここまで、先を見越すのは難しいですが、研究開始時点で考慎重に検討すれば防げた問題でしょう。結局、実験の最後まで少し違和感を抱えたまま、データの収集が進ました。

2.マイクロコントローラの修理

また、マイクロコントローラの修理も非常に時間の無駄でした。僕らは、Teensy4.1というArduinoのようなマイクロコントローラを使って、モータや加速器センサーの制御を行いました。この実験は、Shubhamの研究をベースにしているので、彼の使った研究機器を主に使用しました。しかし、僕らはShubhamの作ったTeensy4.1と加速器センサーをつなぐケーブルがデータ収集の際に頻繁に壊れるので、はんだ付けと回路の修理に何時間も時間を取られる日がたくさんありました。しかし、この修理は一時的であり、何回も同じ個所が壊れることがありました。研究費用がないので新しい研究機器を変えなかったという理由はありますが、その機器が壊れやすいという性質をよく理解し、徹底した修理や研究テーマの変更を柔軟に行うべきでした。

自分の好きを追求しても良かった


今回の研究テーマは完全に先輩の研究の引継ぎでした。大学院の研究テーマは基本与えられるものが多いのでしょうか。自分で決めたという感覚が少ないまま、研究を行っていたため、いつまでも自分事として捉えられなかったのかもしれません。自分の好きなことを信号処理の観点で追求しても良かったかも知れません。例えば、僕の好きな英語が信号処理に結び付つくかな??笑と考えてみたのですが、今Google Scholarで調べてみたら"English speech sound improvement system based on deep learning from signal processing to semantic recognition"という研究がありました。研究テーマってこういうところに広がっているんですね!良い発見です。今の僕だったら、これに関連する研究を行うかもしれません。

モデル設計の甘さ


おそらくこれは、先にも述べたデータ収集に時間を割きすぎた結果であると考えています。なぜなら、データ収集が終わったのが、最終発表の2週間前であり、その時期はほぼプロジェクトの佳境でした。(ほんまにひどい…)1セメスターは15週間であるのに、データ収集とその準備に時間をかけすぎたのは大反省です。最終的にDiscrete Cosine Transform(離散コサイン変換)による特徴量抽出を用いた簡単な線形モデルは提案しましたが、ChatGPTに頼ったところも多く、先行研究の特徴量抽出方法をガン無視した数理モデルを完成させました。そもそも研究力がない僕らに、一朝一夕で素晴らしい数理モデルを作ることなどできません。先にも述べましたが、できるだけ多くの先行研究を参照し、そこから少し改善してみる、という方法を取るのが現実的であったでしょう。温故知新無くして、素晴らしい研究はできないのかもしれません。

こう振り返ると、スケジュール管理も課題でしたね。

先生ともう少し話そう


これらの課題は、先生と話すことで解消できた可能性が高いです。なぜなら、自分は研究の素人であり、研究が上手くいっているか上手くいっていないかも評価を自分で下すことはできません。研究室に公式に所属しているわけではないので、確かに先生と話す機会は少なかったでしょう。しかし、積極的に個人的にアポを取りフィードバックを毎週求めるなど、可能だったであろうことは多々ありました。

所感


いかに、自分が無能かを思い知らされた1セメスターでした笑
今思えば、なんでこうしたんだろうと思う部分が多くあります。しかし、次回は良い研究をするためにこの反省を生かせるというのは良い経験です。

最後に


私の研究活動の反省点をまとめると、

  1. 先行研究をもう少し読もう

  2. 集中すべき点を見極めよう

  3. 自分の好きを追求しても良かった

  4. 温故知新を大切に

  5. 先生ともう少し話そう

です。あとは楽しむかな!

以上にて文章の結びとさせて下さい。お読みいただき、ありがとうございました。

参考文献


私、阪大生Haruは、海外留学や海外旅行に関する情報発信、そして留学相談を行っています。また、阪大発の学生団体「グローバル関西」も運営しています。これからも私個人としても、グローバル関西としても様々なコンテンツを発信していくので、ご覧いただけると嬉しいです😎


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