書店アルバイトの思い出
こんにちは、くまのすけと申します。
完全に勢いでアドベントカレンダーに登録してしまいました。
そしてこれまでの皆さんの記事が非常にハイクオリティで…
場違い感がすんごいですが、あまり期待せず、さらっと読んでいただけたら嬉しいです。
書店バイトをしてました
もう15年以上前のことですが、大学1年生から2年生の終わりまで、2年間書店でアルバイトをしていました。
物心ついてからずっと読書が好きで、高校生のときから「大学生になったら書店でバイトしたい…!」と意気込んでいたのです。
大学生になった4月、実家の近所の比較的大きめなローカル書店にバイトとして採用され、晴れて夢だった書店員ライフがスタートしました。
書店員バイトのお仕事とは
書店員バイトのお仕事は主に以下の5つです。
多分皆さんのイメージ通りの内容かな、と思います。
レジ業務
平台(ひらだい)整理
お客様のご案内(問い合わせへの対応、自分で対応できないときは社員への引継ぎ)
掃除
その他雑用
今回はその中でも特に「レジ業務」の個人的な思い出と、書店員あるあるをご紹介します。
レジ業務の思い出
成人向け漫画を真面目な本で挟む謎
成人向け漫画をビジネス書で上下挟んでレジに出されるお客さんにときどき遭遇しました。
最初の頃は「なんでそんなことをするんだろう?」と純粋に疑問に思っていました。
もしかして、私に見えないように隠してる?
いやでもレジに通すときにどうせ見えちゃうしな…と。
でもあるとき、ハッと気が付きました。
私が働いていた書店の成人向け漫画の売り場は、レジから一番遠く離れた場所にありました。
お客さんがそこで商品を取りレジまで行こうとすると、ちょっとエッチな漫画を小脇に携えながら、広いお店を端から端まで突っ切らなければならなかったのです。
さすがに、ちょっとエッチな漫画をお店の端から端まで持って歩くのはキツイ。
他のお客さんにも見られてしまう可能性がある。
かといって、隠したり怪しい素振りをすると万引きと間違えられるかも…。
そこで編み出したビジネス書サンドイッチの技だったのですね。頭いい。
私に見られないように?とか思ってた自分、自意識過剰すぎでした。
2冊も余分に買ってくれて(たぶん)、感謝です。
今はそういう漫画は電子書籍で購入されることが多いのかも?
もしかしたらこの光景は過去の遺物かもしれません…。
漫画全巻ブックカバー掛け
たまにお客さんにお願いされてました。何十巻もある漫画を大人買いされて「全巻にブックカバーをかけてください」と…。
夕方の混み合う時間帯だったりするとさらに大変です。でももちろん断ることはありません。
まずは1人で頑張りますが、あまりにも多くて大変なときは社員さんが助けてくれたり、バイト同士で分担したりして乗り切っていました。
こんな経験が積み重なって、バイトのブックカバー掛けのスピードは日々加速していきます。
今思えば、リアル書店で漫画を大人買いしてくれるのは、書店にとってはありがたい貴重なお客さんでした。
それにしても、全巻カバー掛けしたらどれが何巻か分からなくなると思うのですが、あのお客さん大丈夫だったかな…。
女性誌にブックカバー?
ブックカバーの思い出をもうひとつ。
女性誌(CanCamとかMOREとかOggiとかの女性向けファッション雑誌)にブックカバーを掛けてくださいとお願いされたこともありました。
皆さんご存じの通り、雑誌は他の書籍よりも判型が大きいです。
そして雑誌用のブックカバーなどもちろん用意していません。
そんなときは、プレゼント包装用の包装紙を使って、ブックカバーを手作りします。
皆さんのお手元の書店ブックカバーを見ていただくと、上下が折り紙のように折られているかと思います。
書店では、折られていない1枚の紙から、文庫用、新書・コミックス用、青年コミック用、実用書用、単行本用など、様々なサイズのブックカバーを手作業で折って作っています。これもバイトの仕事でした。
なので、どんなサイズの本でも、バイトはその本専用にカバーを折って、ブックカバーを掛けることができます(めっちゃ練習しました)。
冒頭のお客さんには、女性誌に包装紙ブックカバーをしっかり掛けてお渡ししました。
「ありがとう」と言っていただけて嬉しかったです。
ブックカバー掛けはザ・書店員っぽい楽しい仕事で好きでした。
ゆうせかにブックカバー掛け特集の回がありましたので、もし興味があれば見てみてください。
シリーズ最新作の発売日はお祭り騒ぎ
人気シリーズの最新作の発売日には、たくさんのお客さんが来ます。
特に思い出深いのは、ハリー・ポッター最終巻が発売された日です。
(これ歳バレますね?検索しないでください)
発売日前日、バックヤードに山積みになったハリポタの単行本。
こんなローカル書店で、こんなに大きくて分厚い上下巻セットの海外児童文学がここまで売れるなんて、と衝撃を受けたのを覚えています。
「社会現象」とはこういうことを言うのだな、と初めて目の当たりにした出来事でした。
地域の書店でもこんなに売れるんだから、都会の大きな書店はこの何倍も積まれていたんでしょう。
そして同じ光景が世界中で…。
ハリー・ポッター、まさに異次元すぎる!
あの日は社員もバイトも法被を着て、お祭り騒ぎでした。
レジに並ぶお客さん全員が分厚い本を重そうに抱えていて…でも嬉しそうで。
みんなハリー・ポッターが大好きなんだな、待ち望んでいたんだなと、こちらも嬉しくなりました。
忘れられない光景です。
私もバイト終わりにしっかり買って帰りました。
ちなみに、ハリポタ最終巻は入荷時から上下巻セットでシュリンク(ビニール)がかけられていたように記憶してます。
大人気作品なので上巻だけ、下巻だけを買う方はいないという想定だったのかもしれません。
あの重い本にブックカバー掛けをしなくて済んだのは良かったのですが、袋に入れる際、よく本の角で袋が破れてしまってやり直してました。
つづいて、超個人的書店員あるあるをご紹介します。
個人的書店員あるある
時給が低すぎ
バイトを始めたころ、時給はなんと750円でした…。
今では考えられないですよね。
当時も正直やっっっすとは思いましたが、書店員になるのは夢だったし、やりがいがあって楽しかったので続けられました。
あと実家暮らしだったので…。
やっぱり書店バイトだけで生計を立てるのは難しいと思います。
ちなみにその後、県の最低賃金を下回っている(!)とのことで、780円まで引き上げられました(笑)
でもその後はバイトを辞めるまで上がりませんでしたね…。
書店が最低賃金てやばない?
やっぱり書店業界厳しいです。
近頃の物価上昇でより厳しくなってるはずです。
皆さんももし可能であれば、リアル書店でたくさんお買い物していただければ嬉しいです…!
バイト先で本を買うと10%オフ…ただし買いたい本は買えない
本は全国どこでも同じ値段、割引禁止のルールがありますが、私のバイト先では、社員やバイトは10%オフで本を購入できる特典がありました。うれしい!
しかし
本を買うときはバイト仲間が立つレジで買わなければならない
社員に何を買ったのか紙で提出しないといけない
などのトラップが。
その結果、知人に見られても恥ずかしくない、カッコつけた本しか買えず…。
少女漫画や流行りの小説、趣味の雑誌をたくさん買いたかったのに、なんだか恥ずかしくて結局あまり活用できませんでした…。
もし書店のレジの人が知り合いだったら、皆さんもちょっと恥ずかしくないですか?
さいごに
書店バイトは結局、3年生で大学の実験が忙しくなって辞めてしまいました。
でも、とても楽しい経験でした。
バイト仲間も社員さんも、真面目で静かで読書好きな方が多く、雰囲気も良かったです。
今の仕事をどうしても辞めなければならないときが来たら、また書店で働きたいです。給料は安いですが…。
ちなみに、現在私がよく行く書店はセルフレジが導入されており、ブックカバー掛けもセルフサービスです。
私が習得した高速ブックカバー掛けも、いつか幻の技術になっていくんでしょうか。
最近、柞刈湯葉先生の「未来職安」を読んだので、未来の書店と書店員バイトの仕事(と給料)はどう変化していくんだろう…と、とりとめもなく考えたりしてます。
ここまで読んでくださった方、駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
文章を書くのは難しい!ですが、良い経験になりました。
引き続き、皆さんと積読サロンで交流できるのを楽しみにしています。
くまのすけ