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ありふれた至福のランチタイム

自販機に100円玉と50円玉を
1枚ずつ入れて、ボタンを押し、
ガコンッ
と落ちてきたホットの缶コーヒー。

おつりを財布に戻し、
冷えた手で持つには
ちょっと熱すぎる缶コーヒーは
コートのポケットにすぽりと入れ、
オフィス街の中にある
小さな公園に向かって、歩く。


信号待ちをしていると、
ポケットから缶コーヒーの温もりが
じんわりと伝わってくる。

そこだけ緑が茂る小さな公園に着き、
日当たりの良い場所にあるベンチに座る。

歩いているうちに、
やさしい温かさになった缶コーヒーを
ポケットから取り出し、
カシュっとふたを開け、
ごくりとひと口。


あぁ、美味しい。


缶コーヒーを飲みつつ、
お昼ごはんにと持ってきた
大好きなお店のパンをかじりながら
空を見上げると、

まるで
さざなみのようなすじ雲が、
サーァッときれいに広がっていた。

ありふれた、
けれども私にとっては至福の、
ランチタイムだった。

空なのに、海みたい


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