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吹っ飛んできた人

”今度はハルの話も聞かせてね”
”そんな風に言われて、なんで怒らないの?”
”ハルって強いよね”
”あら私、たくさんお話ししてきたつもりだったけれど、ハルさんのこと良く知らなかったわ”
”ハルは優し過ぎるんだよ”




要領が悪い方ではないと思う。

勉強すれば、それなりに成績は伸びたし、
仕事をすれば、それなりに評価される。
運動も得意というほどではないけれど、
人並みには出来る。

人間関係も、
周りの人にとても恵まれて、
なんとなくやってこられた。

身近な人がしんどそうにしていたら、
全力で力になる。
お話は、いくらでも聞くし、
悩み相談は、いくらでも受ける。


けれど、
自分の悩みは、言わない。
自分の痛みは、隠したい。

誰かに対して、怒ったことはないし、
誰かの前で、泣くこともほとんどない。

欲しいと言われれば、譲る。
これだけはどうしても欲しいんです、
とは言わない。

吹っ飛ばされそうになれば、
抵抗しないで吹っ飛んでいく。

それはまるで、
カラカラと乾いた音をたてながら
風に吹き飛ばされていく枯葉のように。


普段は、
それで別にいいじゃない、と思っている。

けれど、時々思う。
私、こんなんでいいのかな、と。

なにかどこかが
麻痺しちゃってるのかもしれないと思う。

ある人からみれば、
贅沢な悩みなのかもしれないし、
またある人からみれば、
取るに足らない悩みなのかもしれない。

けれど思う。
こんなんでいいのかな、と。



秋はとても好きな季節だけれど、
なんだか少し感傷的になりますね。
お散歩にでも行ってこようかな、
イヤフォンで大好きな“泣き虫ロック”を聴きながら。



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