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鏡よ、鏡

出先の化粧室。
手を洗って顔を上げたら、目の前の大きな鏡に母が映っていて、びくりとする。

なんてね、私だよね。



私は昔から、自分の顔にあんまり興味がない。

そのせいか、普段は最低限のお化粧をする時や、コンタクトレンズを入れる時くらいしか、ちゃんと鏡を見ることがない。
いやその時だって、それぞれのパーツは見るけれど、顔全体をしげしげと見つめるようなことは、ほとんどないような気がする。


だからたった今、目の前の鏡に、
私の顔をただ映しているだけの鏡に、
現実を突きつけられているのだ。


不思議だなー。
以前は、こんなに似てはいなかったはず。

けれど、どう見ても昔私が見ていた母の顔にそっくり。ということは、この先も母のように歳を重ねていくのかな。

別に嫌だとか、そんな思いはない。
けれど、なんだか私のようで私でないような、とても不思議な感情が胸に漂う。

目の前の鏡に映る、母によく似た顔をした、
他の誰でもない現在の私に。


鏡よ、鏡、鏡さん
あなた、私だよね?

…そうだよねぇ。


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