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ピアスホール

私の耳には、耳の穴以外に、ふたつの穴が開いている。それは耳たぶにある、ピアスをつけるための穴だ。


このふたつの穴は、大学生になった春のある日、母に連れられて行ったクリニックで開けたものだ。

当時、ピアスに興味なんて、これっぽっちもなかった私。
けれど、どうしてもピアスを開けたかった母に誘われ、ほとんど勢いで一緒に開けることにした。

いざ開けた時は、とにかく耳たぶが痛いというよりも熱くて、ジンジンとした。やっぱり、必要のない穴なんて無理に開けるべきじゃないんだ、と思った。

けれど、ふと隣を見てすぐに思い直した。

だって、隣にいる母が見るからにウキウキと、鏡を片手にとても嬉しそうな、照れくさそうな笑顔をしていたから。
それを見ていたら、それだけで開けてよかったと思えてきたのだ。単純。


そうして私の耳にできた、ふたつの穴。
今でも休みの日には、その日の服装や気分に合わせて、ピアスをつけている。

母に誘われなければ、おそらく開けなかっただろう、ふたつの穴。
母とお揃いの、ふたつの穴。

今となれば、これも悪くないなぁと思う。
そしていつかおばあちゃんになっても、きれいな色のピアスをつけて、耳のおしゃれを楽しめたらいいなぁと思っている。


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