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枯れる、そして安心する

以前は、お花を飾ることが
それほど好きではなかった。

なぜなら、
どんなに美しいお花でも、
やがて枯れて、姿を変えてしまうから。

そして、
枯れたそれを、
かつて美しかったそれを、
ごみ箱に捨てるその瞬間が、苦手だったから。

捨てるということが、
とても身勝手で、酷いことのように
思えてならなかった。


でも今は、
いつか必ず枯れてしまうから、
お花が好きだ。



いつからか、生きているものが、
変化しなかったり、朽ちないのを
怖いと思うようになった。

そして、
変化したり、朽ちるのを
美しいと思うようになった。


枯れない花も、歳を取らない人も。


この先もし
そんなもの(こと)ができたとしても、
たぶん私はそれを怖いとは思えても、
美しいとは思えないような気がする。



少し前に
部屋に飾るために買ったお花のうちの
一輪が枯れはじめた。

それを見ていると、
とても美しいと思うし、安心もする。

そして私も
こんな風に、だんだんと変化しながら
生きていきたいなぁと思う。


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