時間をかけてもぐもぐと
※ネタバレはありません
今年の初めに、熱烈な小津ファンである友人に連れられて、映画館で『PERFECT DAYS』を観た。
部屋のシーンの画角からすでに、そもそも”平山”という名前も、
…なんて、この映画に関するレビューはすでに素晴らしいものがたくさん溢れているし、そもそも私にはレビューの類のものはさっぱり書ける気がしないので、略。
この映画について、私が個人的にすごいなぁと思うところは、映画を観てから約10ヶ月経った今でも、日々、自分の中でその内容をもぐもぐと咀嚼し続けているところだと思う。
今だに日常のいろんな場面で、ふと映画のワンシーンや、出てきた人々の表情、仕草、発した言葉や心情、耳にした音楽などについて、思い浮かべることがあるのだ。
きっと私はこれを、これから先、何年も、何十年もかけて、ゆっくりゆっくりと自分なりに咀嚼していくのだろう。
そして咀嚼してたどり着く先には、明確な答えなどないし、答えがある必要もないと思っている。
またこの映画、咀嚼するタイミングによって、たどり着く答えがまったく違うものになるような気もしている。
今までにいろんな映画を観たことがあるけれど、こんな映画に出会ったのは初めてで。
いや、もしかしたら今までだって、いくらでも“出会って”はいたのかもしれないけれど、こちら側が受け取ることのできるタイミングで、このような映画に出会ったのは初めてだった。
そう考えると、
この映画に今出会えて、観ることができて、本当によかったと思う。
年始に“寒いから嫌だ”とごねる私を、かなり強引に映画館まで引きずり出してくれた友人には、今更ながら感謝の気持ちでいっぱいだ。
今度、コーヒーとケーキでも奢ろう。
(遅いし、安くてごめん)