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息子とワクチンと私

ワクチン第3弾は、我が家のお話。

2回目ワクチン接種数日前のこと。

「ワクチン打って死んじゃう人いるんでしょ?母も死んじゃう?」

「そうねー。じゃあ、念のために、大事なこと話しておくわね」

と、もしも母がいなくなっても の話を始めました。
みるみる目を赤くして涙ぼろぼろ泣き始める息子。

「わははー。ワクチン接種で亡くなる可能性は、飛行機事故で亡くなる可能性よりもずっと低いそうだよ。母は大丈夫だよ~」

「うわーーん。泣いちゃったから、何て言ったか全部忘れちゃったよー」

(おいっ。大事な話と言っただろうがー!)

「けど、死ななくても具合は悪くなるでしょ?どうしてそれでも受けるの?」

「そうだね。今、人類とウィルスは戦ってるんだ。どっちも生き残るのに必死なんだ。」

「そうか。だからウィルスもがんばって、暑いのが大丈夫になったり、子供にも感染するようになったり、形を変えて来てるんだね?」

「そう。なかなか手強い相手だね。
でもウィルスには、ひとつ弱点があるんだ。奴らは人の体に住まないと生きられないんだって。ってことは、ウィルスにやる気をなくさせるためには、移り住むところをなくしてしまえばいいってことになる。
それには、ひとつは人類全部が滅亡してしまうこと。もうひとつは、みんなが誰とも会わないで、ウィルスが増えて引っ越す先を作らないように暮らすこと。
最初の話はまったく現実的じゃないよね。そして2番目は、ロックダウンをしたりしてなんとかトライしてきたけど、そううまくはいかないことがよくわかった。
となると、次なる手は、ウィルスが住みにくい体を持った人をなるべくたくさん増やすことなんだ。それがワクチンなのだよ。
ワクチンは、もちろん自分や自分の家族のために打つものでもあるのだけど、人類の戦いに協力するために打つものでもあるんだよ。だから父も打ったし、母も打つ。じいじやばあばも打つでしょ。」

「そうかー。なるほどー。」

「けど、実は自分のことしか考えてない人がたくさんいるってことも、この一年の間によくわかってきたよね。だから、この戦いはもうしばらくは終わりそうにないなって母は考えているんだ。」

「そうだねー。あちこち遊びに出かけたり、大勢でご飯食べたりしてる人、たくさんいるね。ワクチン打たない人もたくさんいるね。」

「ね。いろんな人がいるんだもの。仕方ないね。
一度感染して、治った後にワクチン2回打って、その後また感染したって人もいるんだって。だから、ワクチン打ったから大丈夫ってこともないんだって。まだまだ大変だよ~」

「やっぱりもうちょっとお家にいよう。家にいるのも楽しいよ。」

「そうだね。サイエンティストでも何でもない私たちがこの戦いに協力できるのは、ワクチンを打つことと、感染しない、させないように生活することくらいしかないんだよね。
前みたいにはできないことがいろいろあるけれど、今できる中で楽しいことを見つけていこう。」

「もちろんだよー!
でもさ、パンデミックが起こって、地震や津波があったりして、人間がゴミを散らかしたり勝手なことばっかりしてるから、Mother Natureが怒ってるんだよね?地球はもうなくなっちゃうのかなぁ…。」

息子は学校で「Earth's Changes」というお題で火山や地震のことを学んでいるので、そんなことを考えたようです。

「そうねー。そうかもしれないわね…。」

「あ~あ。死ぬ前に『鬼滅の刃』のシーズン2見たかったな~。」

(って、そこかーい!)


さて、ワクチン接種当日。
打ち終わった私が戻ってくると、

「よかったね!死ななかったね!」

(なぬ?)

「あー...。アナフィラキシーショックで亡くなるってことは滅多にないのだよ。万が一何か影響が出て死ぬのだとしたら、しばらく経ってからじゃないかな?」

「えー!まーだー??!」


なんとも、なんとも。
アホな息子ほど愛おしいと言うべきでしょうか。
ガクンと力が抜けるような発言をするこの子がいてくれるから、我が家はいつも和やかでいられる気がします。
この幸せに感謝です。

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