DV支援事情に関する男女差(京都のケース)
京都のDV相談支援について少し調べ、また実際に電話もかけてみましたが、行政が「被害者」として支援するのは主に女性であり、男性ではないということを改めて思い知らされました。
1. 京都府の相談支援センター
京都府配偶者暴力相談支援センターには、家庭支援総合センター、南部家庭支援センター、北部家庭支援センターという3つのセンターがあります。
京都府配偶者暴力相談支援センターの内、中心と思われる家庭支援総合センターによると、相談の種類や内容として、「こども・女性・障害・ひきこもりに関する『専門相談』に応じています」とあります。
相談の種類として挙げられているのは、「総合相談」、「こども相談」「女性相談」「障害相談」「ひきこもり相談」の5つです。ここでは「女性相談」に注目しますが、相談内容は「配偶者からの暴力(DV)や離婚問題など、家庭内の女性の悩みごと相談に応じています」となっています。ちなみに、「男性相談」というカテゴリは存在しません。
2. 京都市の相談支援センター
このページを見ると、見出しの1つ目が「京都市DV相談支援センターについて」であり、小見出しとして、「1 相談について」「2 京都市DV相談支援センターの業務」「3 リーフレットについて」とあります。その後に、2つ目の見出し、「男性のためのDV電話相談について」があります。
このページの見出しの構造から、京都市のDV相談は、小見出し1、2、3を含む女性を対象とした「京都市DV相談支援センターについて」という内容と、「男性のためのDV電話相談について」に大きく二分されていることが分かります。
見出し1では、対象は「女性被害者」、相談受付時間は「月曜日~土曜日(日曜日・祝日・12月29日~1月3日 を除く) 午前9時 ~午後5時15分」となっています。8時間15分×6日×4週で、おおむね一ヶ月あたり198時間となります。
業務内容として、「相談(又は相談機関の紹介)」、「カウンセリング,弁護士相談」、「緊急時における安全確保に向けた支援」、「保護命令に係る情報提供」が挙げられています。
一方、見出し2では、対象は「男性」(被害者という言葉はありません!)で、相談受付時間は「毎月第2・第4火曜日(祝日・12月29日~1月3日 を除く) 午後7時~午後8時30分」となっています。受け付けてもらえるのが、月2回で合計3時間のみです。また、業務内容についての言及はありません。
3. 不可視化される男性被害者と女性加害者
そもそも見出し2の最初に、「男性のDV被害者及び加害者を対象として,男性カウンセラーによる『男性のためのDV電話相談』を実施しています」とあります。
この文言や相談受付時間などから、女性は言うまでもなく被害者であるけれども、男性は加害者であり、まれに被害を受けることがあるかも知れませんが月2回で合計3時間で十分、と行政が捉えていることが垣間見えます。
つまり、男性の被害者、そして女性の加害者の存在がほぼ不可視化されているのです。他府県も大きな違いはないのかも知れませんが、いくつかの他県を見た範囲では、京都の状況は遅れている、対応の男女差が大きいように感じました。
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